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SNS生中継オルーク氏、同性愛公表ブティジッジ氏…米民主党「打倒トランプ」17候補、多様な顔ぶれ

米民主党の主な大統領候補

 2020年米大統領選に向け、野党・民主党の候補者指名争いに出馬する主要候補がほぼ出そろった。「打倒トランプ」を目指して候補乱立の民主党だが、政権奪回の道筋は描けているのか。トランプ政権のロシア疑惑「シロ判定」は、どう影響するのか。本格化しつつある大統領選の現状を探った。【ワシントン高本耕太】

世論調査で先行はバイデン前副大統領とサンダース上院議員

 「ここ故郷の地で、あなた方の大統領になるための選挙活動を正式にスタートさせる」。3月30日、南部テキサス州エルパソ。市中心部の大通りで、ベト・オルーク元下院議員(46)の宣言に2000人超の支持者が歓声で応えた。まさにその時も、800メートル先のメキシコ国境には、米国に難民認定を求める中米からの不法移民が押し寄せていた。

ベト・オルーク元下院議員

 この前日、国境に架かる橋の下で仮設テントに収容された数百人の移民の姿が報道され、トランプ政権の対応に批判が集まった。そのことを意識したオルーク氏は「彼らに同じ仲間として接しよう。米国の価値観を反映する移民制度に改革しよう」と訴えた。

 昨年秋の中間選挙で上院選テキサス選挙区に出馬したオルーク氏は、共和党現職に惜敗。だが「寛容」を説く演説スタイルや、ソーシャルメディアの生中継を活用した選挙活動が受け、全国区の知名度を得た。今回の指名争いでも出馬表明後の24時間で集まった献金額が610万ドル(約6億8000万円)で候補者中トップとなり、「主役の一人」に数えられている。

 最近の世論調査で上位に食い込んでいるのが、中西部インディアナ州サウスベンド市のピート・ブティジッジ市長(37)だ。衰退した人口10万の小都市のトップに29歳で就任し、経済再建に成功。全国的には無名に等しかったが、3月のテレビ対話集会での堂々とした受け答えで一気に評価を高めた。同性愛を公表する初の大統領を目指す。

 現在、指名争いに名乗りを上げている主要候補は17人。出馬が確実視されるジョー・バイデン前副大統領(76)が正式表明すればレースの構図はほぼ固まる。黒人や同性愛者らマイノリティー(社会少数派)も含む多様な顔ぶれだ。民主党が下院で多数派となった中間選から続く「反トランプ機運」の反映と言える。

 世論調査で先行するのはバイデン氏とバーニー・サンダース上院議員(77)の「白人・高齢者」コンビ。ただ、いずれも過去の大統領選で党予備選段階で敗れており、実力を不安視する声もある。指名争いが「本命候補不在」と言われるゆえんだ。

 政治経験がないまま大統領の座に上り詰めた「異色」のトランプ氏には、従来型の政治家像では対抗できない――。実力が未知数のオルーク氏やブティジッジ氏ら新顔への期待感が高まる背景には、民主党支持者のそうした危機意識があるとも言えそうだ。

「ロシア疑惑」否定で、医療保険など政策論争に方針転換

 16年米大統領選を巡るロシアとトランプ陣営との共謀を否定した捜査報告概要を受け、民主党は戦略の練り直しを迫られている。各候補が繰り返してきた「トランプ氏は大統領に不適格」との主張は、排他的な政策に対してだけでなく、疑惑捜査によってトランプ氏の何らかの不正行為が暴かれるとの前提に基づくものだったためだ。トランプ批判一辺倒から政策提案型への転換が求められている。

 民主党は当面、医療保険制度に集中する方針だ。昨秋の中間選で、国民皆保険を基本理念とするオバマ前大統領が進めた制度改革(オバマケア)の維持・改善を訴えの中心に据え、成果を上げた成功体験があるためだ。加えて「壁に頼らない」移民・国境政策や、温暖化対策推進など、現政権との差異が出やすい分野を主要政策に掲げる構えだ。

 ただ指名争いの顔ぶれを見ると、バイデン氏やエイミー・クロブチャー上院議員(58)らを除き、大半の候補は左派・急進左派に分類される。サンダース氏は国民皆保険の徹底や大学無償化を公約し、エリザベス・ウォーレン上院議員(69)は格差是正のための「富裕税」を掲げる。トランプ批判の急先鋒(せんぽう)として名を上げてきたカマラ・ハリス上院議員(54)も含め候補者全体が「左傾化」し、政策論議は広がりを欠く。

 30年までの温室効果ガス排出量ゼロを目指す気候変動対策「グリーン・ニューディール」への支持も複数候補が表明しているが、こうした左派的な政策は都市住民に受けが良い一方、中西部や南部の労働者層らには敬遠されやすい。リベラル系勢力を結集しつつ、前回大統領選でトランプ氏に流れたこれらの層の支持を取り戻すためには穏健な訴えとのバランスも求められる。ニューヨーク・タイムズ紙は「左に寄り過ぎれば、民主党は崖を転げ落ちるだろう」と指摘する。

トランプ氏、民主候補を「社会主義者たち」と攻撃

 「社会主義者たち」。民主党の左傾化を好機と見るトランプ氏は、同党候補者らをこう呼び、攻撃を強めている。最大の懸案だったロシア疑惑の「シロ判定」に支持層は盛り上がる。

 ただ、トランプ氏の型破りな政策を巡っては、特に伝統的な同盟外交や国際秩序を重んじる共和党内の保守派から懸念の声が上がり続けている。米紙ワシントン・ポストは3月9日に開かれた保守系シンクタンクの会合で、ブッシュ(子)政権の副大統領だったチェイニー氏がトランプ政権の米韓合同軍事演習中止の方針や情報機関の分析軽視の姿勢に異議を唱え、ペンス副大統領に激しい口調で詰め寄ったと報じた。

 トランプ氏は不法移民への厳しい姿勢や規制緩和など「支持層向け」の政策を徹底する構えだ。だが、再選に不可欠な無党派層への支持をどう広げるかの戦略は描けていない。また、これまで好調だった国内経済が減速局面に転じれば、これまで成果を誇ってきた通商政策などに一気に不満が噴出する可能性もある。

 焦点は、党内にトランプ氏の有力な対抗馬が現れるかだ。現在、予備選出馬が取りざたされるのは東部メリーランド州のラリー・ホーガン知事(62)ぐらいで、予備選が実施されたとしても現職大統領が圧倒的に有利であることに変わりはない。一方で党の指名争いに多くの政治・財政資源が費やされた結果、野党候補との一騎打ちとなる本選での勝利が困難になるとの分析がある。いずれも再選に失敗したカーター(民主)や父ブッシュ(共和)の両元大統領がそのケースにあたる。

2020年米大統領選の主な日程

2・3   アイオワ州党員集会、候補指名争いがスタート

3・3   カリフォルニアなど約10州で予備選・党員集会(スーパーチューズデー)

7・13~16 民主党大会で候補指名(ウィスコンシン州ミルウォーキー)

8・24~27 共和党大会で候補指名(ノースカロライナ州シャーロット)

11・3   一般投票で大統領選出

<2021年>

1・20 大統領就任式

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