新元号「令和」の文字が入った缶バッジを手に笑顔の子どもたち=京都市東山区の漢字ミュージアムで2019年4月1日午後0時57分、川平愛撮影
与良正男 毎日新聞 専門編集委員
新しい元号が「令和」に決まりました。今の平成から実際に切り替わるのは5月1日から。安倍晋三総理大臣(首相)は「広く国民に受け入れられ、日本人の生活に深く根ざしていくことを願っている」と語っています。
昭和が終わり、平成になったのは、みなさんがまだ生まれていない1989年1月でした。新元号の発表は昭和天皇が亡くなられた直後。このため、重たい空気の中での発表だったことを思い出します。
今回は打って変わって、お祝いムードに包まれているようです。今の天皇陛下が、お元気なうちに退位するという方式は、やはりとてもいい判断だったと、私は改めて思っています。
令和の2文字の出典は万葉集からだそうです。古い中国の古い文書からではなく、日本の古文から引用するのは初めてで、これは安倍首相がとてもこだわった点だったそうです。首相は記者会見で、万葉集は日本の歴史や文化、四季の美しい自然を象徴していると説明しています。
各界の代表者らの意見を聞いたうえで閣議で決定したものですが、「保守的」と言われてきた安倍首相のカラーが強く出ている新元号だと言っていいのではないでしょうか。
ただし、元号が変われば、日本の社会そのものが直ちに変わるというものではありませんよね。
首相は「一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かす」という願いを込めたとも語りました。
その願いがかなうかどうかは、まさに政治の役割です。そして私たち国民一人一人も政治家にお任せしているだけではいけないと思うのです。
若いみなさんには、これからますます大変な時代が待っているかもしれません。でも時代のページをめくっていくのは私たちなのです。
政治部デスクなどを経て2004年から論説委員。早稲田大学大学院客員教授も務めた。TBSテレビ・ラジオや大阪MBSテレビの報道番組などでコメンテーター。1957年生まれ。