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社説

シナイ半島に自衛官派遣 新時代の国際貢献議論を

 エジプト東部のシナイ半島で同国とイスラエルの停戦を監視する「多国籍軍・監視団」(MFO)の司令部要員として今月、日本の自衛官2人が派遣されることになった。

     MFOは国連の正式な平和維持活動(PKO)ではないものの、両国の平和条約に基づき1982年に設立された国際機関だ。2016年施行の安全保障関連法で多国籍軍型の「国際連携平和安全活動」に参加できる規定がPKO協力法に新設され、今回はその初適用となる。

     トランプ米政権など国際協調に背を向ける風潮がある中、日本として国際的な平和構築に貢献する姿勢を示す意義はあるだろう。

     ただし、南スーダンPKOに派遣された陸上自衛隊の施設部隊が17年に撤退して以降、日本の部隊派遣は途絶えたままだ。PKO法に基づく派遣人員は、南スーダンに残した司令部要員4人にシナイ半島の2人を加え、わずか6人にとどまる。

     その背景には国連PKOの変質がある。紛争終結後の「国づくり」を支援する古典的PKOから紛争中の「文民保護」に比重が移った。

     紛争地域の住民や難民を保護するためには、武装勢力との戦闘を覚悟しなければならない。憲法9条を持つ日本に限らず、先進国全般が部隊派遣から手を引く傾向にある。

     代わって、アフリカへの関与を強める中国や紛争地周辺の途上国がPKOの中核を担うようになった。国づくりのノウハウを途上国に伝える能力構築・人材育成や司令部の運用が先進国の役割になりつつある。

     道路などのインフラ整備で実績を上げてきた日本も途上国の能力構築支援に積極的に取り組んできた。

     とはいえ、国際情勢はますます不安定化し、紛争やテロに苦しむ人々は増えている。新たな時代に合わせた議論が必要であり、紛争当事者間の停戦合意など「PKO参加5原則」のあり方も議論の対象となろう。

     安保関連法の国会審議は集団的自衛権の憲法解釈をめぐって紛糾し、国際貢献の議論は深まらなかった。

     南スーダンPKOでは紛争が再燃し、自衛隊は撤収を余儀なくされた。その教訓を今後に生かすべきなのに、十分な検証がなされていない。

     与野党が思考停止に陥っているように見えるのが気掛かりだ。

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