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76歳「人生やり直す」 薬物依存を克服、定時制4年生に

NPOが運営する心療内科・精神科クリニックで事務スタッフと打ち合わせをする栗原豊さん(左)=茨城県鹿嶋市宮中で2019年4月8日、根本太一撮影

 薬物依存者らの自立を支援する茨城県鹿嶋市のNPO法人「潮騒ジョブトレーニングセンター」理事長、栗原豊さん(76)がこの春、県立高校の定時制4年に進級した。孫のような世代の同級生らと机を並べて学んでおり、来春の卒業後は通信制の大学に進み精神保健福祉士の資格取得を目指している。

 運営する寮には依存症の男女約230人が入所し、社会復帰を目指している。昨年11月には、覚醒剤を使用した罪で服役経験のある横浜市出身の女性(37)が、生後3カ月で生き別れた息子と約17年ぶりの再会を果たし、自立生活を始めた。

 2006年に「鹿嶋潮騒ダルク」を創設。ダルクは薬物依存症者を支援する民間団体だが、栗原さんは、アルコールやギャンブル依存症者らも受け入れる▽入寮者が田畑を耕し、農産物や加工品を販売したりしながら一般地域社会に適応させる――ことなども重視していたことから、NPO法人化した09年に、現在の名称に変えた。

 栗原さん自身も60歳までに計7回、20年以上を刑務所で過ごしてきた。埼玉県出身で、1歳の時に父親が戦死。戦後の食糧難時に里子に出された。高校には行かせないと知らされた中学1年で酒の味を知り、やがて裏社会に染まっていき覚醒剤に手を出したという。

 還暦を迎え、人生をやり直そうと決意し、「いつかは高校へ」との思いを強めた。通信制では怠けてしまうと半ば諦めかけた4年ほど前、高齢者でも通える県立高が地元にあると支援者らから教えられ、入学を決意した。

 NPO代表としての一日の仕事を終えて午後5時から同8時50分まで、授業を受ける。精神保健福祉士の資格を取ろうと決めたのは、NPOが運営するクリニックで最も必要とされる職種だから。「私も体を『クリーン』にして16年たった今でさえ『スリップ』(突然の欲求)に悩まされる瞬間がある」と明かす。

 栗原さんは8日夕の始業式には参加せず、薬物依存症者を持つ家族会の依頼で東京都内で講演する。自身の経験談を織りまぜ、依存という「病気」を互いに理解し、支え合う重要さを訴えるという。体力の衰えにあらがいながら「若者らに薬物が広まらない社会」を目指し奮闘している。【根本太一】

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