統一地方選の11道府県知事選のうち大阪など3知事選で自民党の推薦候補が敗れた。だが、41道府県議選の結果をみると自民は堅調だ。
道府県議選で合計1158議席を獲得し、総定数2277の半数を超えた。前回2015年の統一選で24年ぶりに過半数を占めたのに続く好成績だ。得票率をみても前回の39%とほぼ変わらない40%だった。
大阪府議選では大阪維新の会が告示前の40議席から51議席に伸ばし、自民は15議席と大敗した。ただ、維新は大阪都構想をめぐって自民と対立しているものの、憲法改正など政策全般をみれば安倍政権に近い。大阪も含め「総保守」の堅調ぶりが目立ったのが統一選前半戦の結果だ。
衰退する地方を立て直し、人口減少に歯止めをかける有効策を必ずしも提示しているわけではない。それでも自民党が堅調なのは野党の弱さに支えられているからだろう。
野党第1党の立憲民主党は41道府県議選で118議席と、自民の1割程度にとどまった。国民民主党の83議席と合わせても201議席で、両党の前身の旧民主党が前回獲得した264議席からさらに後退した。
旧民主党は09年衆院選で自民党長期政権に対する世論の批判を追い風に政権交代を実現したものの、当時から地方の基盤の弱さが指摘されていた。今回の道府県議選で立憲、国民両党が擁立した候補者は290人で、自民党の1302人に遠く及ばず、弱点は克服できていない。
「反安倍」の旗を掲げるだけで地方選は戦えないことははっきりしている。旧民主党の支持基盤が厚かった北海道の知事選で野党統一候補を立てながら大敗に終わった。
自民党のスキャンダルを追及する空中戦に頼るばかりではなく、総保守に対抗する政策と人材の蓄積に地道に取り組む必要がある。
今回の統一選は夏の参院選の前哨戦に位置づけられている。地域に密着して活動する地方議員の伸長は国政選挙の行方を占う指標となる。
参院選へ向け自民党内では保守分裂のしこりが懸念される一方、野党は地力の乏しさを露呈した。自民に対抗するより野党内の勢力争いを優先しているようにもみえる。健全な民主主義には与野党の緊張が欠かせないことを指摘しておきたい。