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社説

大熊町の避難指示解除 新たな共同体への一歩に

 東京電力福島第1原発事故から8年を経て、いよいよの帰還である。

     福島県大熊町の避難指示が一部地域で解除された。同原発の立地自治体では初めてだ。

     対象となったのは、放射線量が比較的低かった町西部地区だ。最初の居住者は、50戸整備した災害公営住宅の入居者や元の自宅への帰還住民、さらに既に社員寮に住んで原発の廃炉に携わっている約700人の東電社員らとなる。

     解除地域の人口は大熊町全体約1万人の3・5%にとどまる。残った帰還困難区域のうち、元の市街地などは復興拠点とされ、3年後の解除を目指して除染が進められている。

     今後も順調に帰還が進む展望が開けているわけではない。

     町が行った町民アンケート(回収率36%)では、将来を含め戻りたいと考えている人は14%どまりだった。生活基盤が避難先に移った町民が多いうえ、困難な原発の廃炉作業が30年以上続くことへの不安も根強いからだ。

     このため、まず廃炉や除染を着実に進めることがまちづくりの大前提となる。

     また、帰還する住民には高齢者が多く、医療など生活支援への目配りが欠かせない。若い世代の定着を図るなら、廃炉関連以外の雇用をどう創出するかも切実な課題だ。

     町は2027年時点で復興拠点を含め約4000人の人口規模とするのが目標だ。だが、その半数として見込むのは、東電社員や廃炉作業員などの新住民で、地域社会をどう築き維持していくかが焦点となる。

     大熊に戻らなくとも、故郷に関心を持ち続けている人たちが大勢いることは支えとなる。

     伝統行事に参加するなど、町を再生する担い手となり得る。さまざまな交流事業を活発化させることは、戻った人、戻らなかった人の両方にとって励みとなろう。

     これから進むまちづくりは地域の復旧ではなく、帰還した人たち、新住民、交流する元住民らによる新たな共同体の構築である。

     もう一つの立地自治体の双葉町も復興拠点の避難指示解除を3年後に目指す。政府が支援するのはもちろん、私たちもこの前例のない挑戦を応援していきたい。

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