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つながり紡いで

とよなか国際交流協会 解決探る、多言語相談=山野上隆史 /大阪

交流パーティーで趣旨を紹介し合う参加者やジャ・チンさん(中央)ら=大阪府豊中市のとよなか国際交流センターで

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 金曜日の午前。豊中市のとよなか国際交流センターは日本語の勉強に来る人、相談に来る人、友だちと話す人らでごった返す。多言語スタッフが同じ国出身の人を見つけては声をかける。中国語、韓国語、フィリピノ語、タイ語、スペイン語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語といった言葉が飛び交い、「元気?」「子どもはどう?」「仕事は順調?」。

     センターは豊中市の施設で、とよなか国際交流協会が指定管理者として運営を担う。外国人のための日本語教室や子どもの学習支援・居場所づくり、日本人のための国際理解プログラムなど約30ある協会の事業のうち、一番の要となるのが多言語相談サービスだ。

     ジャ・チンさんは24年前に中国から来日し、自身も高校生の子育て中。中国語の多言語スタッフ兼コーディネーターとして外国人からの相談対応や外国人向けのイベントやセミナーの企画、とりまとめを担当している。

     「子どもが学校でいじめられている。日本語ができないから、友だちに手が出てしまって。家では親の言うことを聞かないし。夫も職場で日本語ができずに大変で夫婦げんかも多い。どうしたらいいですか」「本当につらいですね。まず、どうしたいですか」。日本人の相談専門の職員と、相談者本人が課題を整理して次に進むために必要なことを考える。場合によっては学校や市役所、弁護士と連携しながら、丁寧に話を聴き、課題解決の糸口を探っていく。

     相談窓口に来ないからといって生活が快適だとは限らない。「地域の人たちとつながりがなかったり、友だちがいなかったりして孤立している人も多い」。だから、人とつながる機会を作ることも大切な仕事だ。

     中国、韓国、ベトナムの出身者を集めてそれぞれの旧正月を紹介し合うイベントを企画したり、交流パーティーを開いたり。参加者が料理を一品ずつ持ち寄り、100人以上が集まる。「友だちができて元気になる人もいますし、友だちと話しているうちに、悩みが解決することもあります」。中には「今度は私にできることをしたい!」「少しでも役に立ちたい!」と地域の子どもたちに出身国の文化や言葉、遊びを教えたり、小学校で国際理解講座を担当してくれる人もいる。

     「日本に来て、最初にだれに会うか、だれとつながるかということが本当に大きいです。それで生活が大きく変わります」

     今月、外国人労働者の受け入れ拡大が始まった。政府の受け入れ施策の中で「多文化共生ワンストップ相談サービス」は外国人との共生社会づくりの目玉だ。情報提供にとどまらず、いろいろな人の生活を支え、思いをつなぐ窓口になれるか。「情報が欲しい」「話を聴いてほしい」といった助けを求める声を、地域社会に対する信頼や熱い思いに変えていけるか。新たなチャレンジの幕開けだ。


     地域の活性化や多文化共生に取り組む市民が執筆します。次回は5月10日掲載予定。


     ■人物略歴

    やまのうえ・たかし

     公益財団法人とよなか国際交流協会理事兼事務局長。1977年、大阪生まれ、神戸育ち。高校生のとき、阪神大震災を経験。最新の共著に「外国人と共生する地域づくり 大阪・豊中の実践から見えてきたもの」(明石書店)。

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