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余録

20世紀のアインシュタインの一般相対性理論により…

 20世紀のアインシュタインの一般相対性理論によりその存在が予測されたブラックホールだが、何事にも先駆者というのはいるものだ。18世紀にも星が極端に重ければ光も重力で抜け出せないと考えた人がいた▲英国のアマチュア天文家で牧師のミッチェルという人で、光を吸収する暗黒星の存在を予言した。同時期にフランスの数学者ラプラスも大質量で暗黒の天体の可能性を考察する。古典力学の時代でも考えられたブラックホールだった▲何もかも周りをのみ込む真っ黒な宇宙の穴--ブラックホールは何とも人間の神話的な想像力を刺激する。SF映画やアニメによく登場するだけではない。巨大な謎や闇を示す文章上のたとえにもなり、コラム子もよくお世話になる▲そんな空想だけが先行していたところに、「これぞブラックホールだ」という画像を初めて目にできた。ぼけたドーナツのような輪の穴がその影で、周りはガスの光、輪の直径は約1000億キロ--約5500万光年先の光景という▲地球上6カ所の電波望遠鏡が連携し、月面のテニスボールを見分ける“視力”で撮影された画像である。日本など世界17カ国・地域の学者200人余による10年越しの挑戦の成果と聞けば、「ぼけたドーナツ」も急に神々(こうごう)しく見える▲当のブラックホールの質量は太陽の65億倍と聞いても、絶句するしかない天文学に縁無き衆(しゅ)生(じょう)である。だが、宇宙のスケールでは無にも等しい人間が、その謎をまた一つ解いた心の弾みは分かち合いたい。

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