メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

記者の目

連載「不知火のほとりで」を終えて 石牟礼道子と「せりこみ猫」=米本浩二(西部報道部学芸グループ)

石牟礼道子さん(右)と、石牟礼さんの文学・思想的盟友で日本近代史家の渡辺京二さん=熊本市東区の病院で2014年8月31日、米本浩二撮影

 2014年4月、熊本市の作家、石牟礼道子さんの近況を伝える西部本社版の連載「不知火のほとりで 石牟礼道子の世界」を始めた。18年2月10日に石牟礼さんが90歳で死去。連載はその後も続き、5年目の19年2月、70回で完結した。400字詰め原稿用紙に換算すると約400枚(一部を毎日新聞出版から5月に書籍化の予定)。「不知火のほとりで」を介して石牟礼さんと対話を重ねた日々を振り返ってみたい。

 15年晩秋の午後、裁縫をしていた石牟礼さんが不意に顔を上げ、「“せりこみ猫”をご存じですか」と私に聞くのだ。せりこみ猫? ぐっと詰まった私に、「のら猫がある日やってくる。追い払っても来る。そのうち自然と家族の一員になっている。そうやって関係に“せりこんでくる”猫のことなんですけど……」と笑みを浮かべて語るのだ。

 「苦海浄土(くがいじょうど)」を書き、水俣病闘争をへた石牟礼さんは1978~94年、熊本市東区の真宗寺脇に仕事場を構えた。住職の信頼を得て、世間で行き場のない寺の若者らとも仲よくなり、本堂で執筆することもある自分のことをせりこみ猫と思っていたようだ。

この記事は有料記事です。

残り1519文字(全文1997文字)

コメント

投稿について

読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

利用規約

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 現金給付の厳しい条件など「不満のオンパレード」自公に続出 早くも「更なる経済対策を」

  2. 「新型コロナ影響で収入減る」漏らした妻への傷害容疑 夫逮捕、妻は死亡

  3. 慎重だった首相、なぜ緊急事態を宣言せざるを得なくなったのか その「腐心」を読む

  4. 保育園は休園?買い占めで食料不足?補償はいつ? 緊急事態宣言で市民に渦巻く不安

  5. 緊急事態宣言で強制力があること、ないことは何か 首相「冷静な対応」要請

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです