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社説

首相が桜田氏を更迭 半年余も守った罪は重い

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 安倍晋三首相はなぜ、この人を閣僚に起用し、半年余も続投させてきたのか。そんな疑問が改めて募る。

 失言や失態が相次ぎ、その資質が問われてきた自民党の桜田義孝氏が五輪担当相を辞任した。首相は「任命責任は私にある」と謝罪したが、遅すぎた更迭と言うべきである。

 辞任に追い込まれたのは、高橋比奈子衆院議員(比例東北)のパーティーで語った「復興以上に大事なのは、高橋さん」との発言による。

 高橋氏へのリップサービスのつもりだったろうが、東日本大震災の被災者らがどう受け止めるか、配慮する発想自体がなかったと思われる。

 政府は東京五輪・パラリンピックを大震災からの復興を後押しする復興五輪と位置づけている。その責任者の桜田氏が復興五輪の意義も理解していなかったことになる。

 あいさつでは競泳の池江璃花子選手が白血病を公表した際、「がっかりしている」と述べて批判された点にも触れ、「私も『がっかり』という言葉は禁句」と冗談めかして語っている。あぜんとするほかない。

 予算の額や人名、地名を読み間違える。サイバーセキュリティー担当でもありながら、その分野の知識を著しく欠く。国会で質問に答えられず、事務方が助け舟を出す。昨年10月の就任以来、こんな場面を何度、目にしてきたことか。

 にもかかわらず首相が更迭しなかったのは、桜田氏を辞めさせれば、財務省の文書改ざんで責任を取らなかった麻生太郎副総理兼財務相の進退問題が再浮上し、辞任ドミノにつながると恐れたからかもしれない。

 だが多くの国民にとって、しどろもどろの答弁を繰り返す桜田氏は、もはや冷笑の対象だったのではないか。「これでも閣僚が務まるのか」と国民をあきれさせ、政治不信をいっそう深めた罪はことさら重い。

 昨秋の内閣改造で首相は「適材適所」と自画自賛した。だが主要閣僚を除けば、実態は桜田氏を含め党内各派閥の要請を受け入れる「滞貨一掃」人事だった。その後問題が起きても首相が多くを不問にしてきたことで政権の緩みはさらに広がった。

 現内閣では塚田一郎氏が「忖度(そんたく)」発言で副国土交通相を辞任したばかりだ。首相は再三「緊張感を」と口にするが、緩みという病は重症だ。

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