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英国のEU離脱再延期 欧州議選の準備も同時に

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 混迷が続く英国の欧州連合(EU)からの離脱について、EUは10月末まで約半年間の延期を認めることにした。ただし、無条件ではない。

 EU側は厳しい条件を突き付けた。5月23日から始まる欧州議会選挙までに英議会が離脱合意案を承認できない場合、英国はその選挙に参加しなければならない。参加を拒めば6月1日に、経済界と市民が危惧する「合意なき離脱」を迎えるというのだ。

 つまり、欧州議会選に参加しなければ半年間の猶予を確保できず、合意なき離脱の恐れは眼前から消えないことになる。

 メイ英首相は依然、強気の姿勢で6月までの短期決着を目指している。離脱案を承認できた場合、前倒しの離脱が認められているからだ。

 そのために野党・労働党に協力を仰いでいる。だが、労働党が求めるEU関税同盟への残留案に難色を示し、与党・保守党の離脱強硬派も猛反発している。

 英議会は今年に入り既に3度も離脱案を否決した。労働党との協議も危ういものと見られている。

 ならば英政府は欧州議会選への参加準備を、英議会の合意形成の努力とともに同時並行で進めるべきだ。メイ氏にとっては矛盾の策かもしれないが、時間は確保できる。

 欧州議会はEUの政策決定を担い、28加盟国からの議員約750人が5年ごとに改選される。選挙は国別に行われ、各国の政党が候補者を立てる。

 参加のためには英政府が意思決定をしなければならない。メイ氏はこれまで、離脱することを前提に否定的だった。EUの影響力に縛られることを嫌う離脱派の反発もある。議員を送り出すことは、残留への道を開く可能性があるからだ。

 EU側にも不満が募っている。特にマクロン仏大統領は、英国に振り回されることがEU改革や諸課題の解決を阻害しているとして早期決着を主張してきた。1年の延期を容認する勢力との論議になり、半年の折衷策で収まった。

 厳しい意見を背景に、EUは英国に対し今後の政策決定を妨げないように、ともくぎを刺している。

 英国は限られた時間を無駄にしてはならない。

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