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社説

水産物禁輸で逆転敗訴 日本基準の否定ではない

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 東京電力福島第1原発の事故後、韓国が日本の水産物の輸入を禁じている措置を巡り、世界貿易機関(WTO)の上級委員会は、禁輸を不当とした「1審」の小委員会の判断を破棄した。日本の逆転敗訴である。

     禁輸対象となっている福島県など8県には残念な結果だ。

     原発事故から8年を経ても、日本の水産物の輸入を規制しているのは23カ国・地域に上る。韓国はとりわけ厳しく、日本は「科学的根拠がない」と提訴していた。今回勝訴が確定すれば、てこにして中国などに解除を働きかける考えだった。

     日本政府には「敗訴は予想外」との受け止めが多いが、対応に問題はなかったか。検証が必要だろう。

     懸念されるのは、敗訴によって、日本の水産物は不安だという誤解が海外で広がってしまうことだ。

     だが安全性まで否定されたわけではない。上級委員会が1審で問題視したのは手続きの誤りだった。韓国側は魚類が生息する水域の環境まで含めて考慮すべきだと主張したが、十分に議論されなかったという。

     「日本の水産物は科学的に安全」という1審の事実認定は上級委員会も変えていない。日本の検査は国際基準より厳しく、基準値以上の放射性物質は検出されていない。

     日本政府は今後、輸入規制を巡り韓国などと個別に協議する方針だ。その際、必要なのは安全性をより丁寧に説明していくことである。

     輸入食品の安全性に敏感になるのはどの国も同じだ。日本も米国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)問題で厳格な検査を求め米国と対立した。

     韓国が神経質になるのは、日本の水産物に関する情報が不足している面もあるのではないか。

     消費者への働きかけも重要だ。韓国からの訪日客は昨年、過去最高を更新した。日本の食文化への関心も高い。安全性に理解が深まれば、インターネットで評判が広がる効果も期待できる。説得力を増すには日本国内の風評被害防止も不可欠だ。

     日韓関係は元徴用工などの問題で冷え込んでいる。日本の敗訴で韓国が日本の主張に応じるのはますます困難になるだろう。だが今回の事態で関係がさらに悪化することがないようにすべきだ。日本政府は粘り強く理解を求めていく必要がある。

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