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アートの地平から

分断を乗り越える思想=住友文彦

イサム・ノグチ「捜す者、捜し出したり」1969年、玄武岩、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵ⓒThe Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble

 昨年からイサム・ノグチの展覧会を多く目にした。先日閉幕した横浜美術館の長谷川三郎との二人展が行われた同時期には、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTの企画展や英国の建築家集団アッセンブルの銀座・資生堂ギャラリーでの展示により、民藝(みんげい)にも注目が集まった。

 よく知られているように、ノグチの抽象彫刻は東西文化の違いを乗り越える試みだった。彼は自分のアイデンティティーを作品に色濃く反映させたが、そもそも抽象芸術は植民地主義や度重なる戦争といった時代背景をもとに、特定の文化や宗教から自由になる表現を希求する運動でもあった。一方、民藝運動を牽引(けんいん)した柳宗悦は、神秘主義の研究でも知られる。キリスト教から始まり後半生は仏教に関心を向けたように、人の信仰を特定の教えから解放することを目指していたように思える。それは、直観を重視した民藝の考え方によく表れている。

 一見類似性がないように見える20世紀前半の二つの芸術運動は、ともに分断の危機を乗り越える思想に支えられていた。そこに現代の社会状況を照らし合わせながら軌跡を振り返る意義が見いだせた。

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