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中島京子・評 『Xと云う患者 龍之介幻想』=デイヴィッド・ピース・著、黒原敏行・訳

 ◆Xと云(い)う患者 龍之介幻想

 (文藝春秋・2592円)

鬼才が現代に蘇らせた芥川の狂気

 『TOKYO YEAR ZERO』や『占領都市』で日本の戦後、占領期の闇を、独特の手法で描き出した鬼才が手掛けるのは、時が大正から昭和に変わった直後に衝撃的な自殺を遂げた文豪、芥川龍之介の闇だ。

 本書には12の短篇が収録されている。それらのすべてが、芥川の作品や日記、評伝などを、大胆にコラージュして創り出された作品であることが目を引く。

 たとえば「糸の後、糸の前」と題された一篇の「こちらは地獄の底の血の池で、ほかの罪人と一しょに、浮いたり沈んだりしている龍之介でございます」という一文に出会うとき、読み手は芥川本人が「蜘蛛(くも)の糸」の〓陀多になってしまったことにびっくりし、ほのかなおかしみとともに惹(ひ)き込まれる。しかし読み進むうちに、芥川が晩年落ち込んだ狂気とは、果たしてこのようなものであったのかもしれないと思わされる地獄…

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