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アートの扉

方于魯銘魚符墨 「文人」が愛した消耗品

 この作品写真を見てから展覧会で実物を目にしたら、驚くかもしれない。とても小さいのだ。もっとも、墨の多くは手のひらサイズ。魚の形をした本作「方于魯銘魚符墨(ほううろめいぎょふぼく)」に尾の部分がないのは実際に使われていたから。そう聞けば、手に触れられる身近なものに見えてくる。

 とはいえ、リアルな魚の形をした墨、で終わらないのが本作の魅力である。割り符の形で両面がぴったりと重なり、内側と背びれには中国・漢時代の有名な詩の一節とこの墨の作者名が刻まれている。詩の概要はこうだ。長城築城に行った夫のことを思い、嘆き悲しむ妻がいた。ある時、客がその妻を料理で励まそうと釣ってきたコイをさばいたところ中から手紙が出てきた。「食事はちゃんとしなさい。いつまで…

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