メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

九州電力の出力制御、暖かくなり頻発 他電力でも…

九州電力の出力制御の日数

 太陽光などの再生可能エネルギー事業者に対して、九州電力が一時的な発電停止を求めた「出力制御」の本格実施から半年が経過した。当初は冷暖房の利用が少なく、工場も稼働しない春や秋の週末が多いと見込まれたが、3月は平日も含めて16日間に達した。今後は東北や四国、沖縄などでも見込まれ、再エネ電力を無駄にしない仕組みづくりが求められている。

グリーンコープが福岡県糸島市に建設した太陽光発電所。電力小売りへの参入後は組合員に電気を供給する電源の一つとなる予定=糸島市神在で2016年3月18日、前谷宏撮影

 九電の出力制御が初めて実施されたのは、昨年10月13日。その日数は、同月と翌11月には各4日間、今年1月と2月は各1日で、いずれも電力の需要が低くなる土日だった。しかし、3月になると16日間に急増。4月も15日までに11日間あった。3月以降に平日の実施が頻発したのは、暖かな日が続き、暖房の使用が低調に推移したことで、太陽光など再エネの発電量が増える日中を中心に電力が余ったためだ。

 電力は常に使用量と供給量を一致させる必要があり、このバランスが崩れると大規模停電(ブラックアウト)に陥る恐れがある。出力制御はこうした事態を回避する措置だ。

 再エネの固定価格買い取り制度(FIT)が2012年に始まると、太陽光発電が各地で普及。特に土地が割安で日照条件が良い九州は多く導入され、晴れると発電量が急増して需給調整が困難な状況になった。九電の池辺和弘社長は「カットは発電量がピークの時間帯だけで、全体では再エネの発電量は増えた」として、再エネ拡大を妨げているわけではないと強調する。

 同様の状況は今後、再エネ設備が多い沖縄や東北、四国でも起こる可能性がある。沖縄電力は3月以降、管内の再エネ事業者と計3回訓練を実施。東北電力も3月から太陽光発電事業者に出力制御の仕組みの説明を始め、将来の実施を見据えて準備に着手している。【浅川大樹】

送電線増強を検討

 再エネの主力電源化を掲げる政府は、送電線を増強して「九州から本州」「北海道から本州」といった地域間のやり取りを増やすなど再エネ拡大に向けた方策を検討している。だが、増強には巨額の費用が見込まれ、負担の分担方法をどう解決するか一筋縄でいきそうにない。

 大手電力会社は、エリア内で電気が余ったり足りなくなったりした場合、九州と本州を結ぶ「関門連系線」や、北海道と本州を結ぶ「北本連系線」などの送電線を通じて電気をやり取りする。エリア間で送れる電気の量を増やせば、出力制御が起きにくくなり、再エネを増やしやすくなる。ただ、連系線の容量を増やすには数百億~数千億円規模の費用がかかる。費用は従来、その地域の電力会社が負担し、電気料金に転嫁するのが一般的だが、経済産業省の有識者会議は、北本連系線を増強する費用を全国単位で負担する仕組みを話し合っている。

 理由は、従来の方式だと北海道など再エネ設備が多い地域だけ電気料金が高くなる可能性があるためだ。しかし、西日本のある電力会社幹部は「北海道で再エネを増やすための費用をうちの託送料金(送電網の利用料)に上乗せするのは、契約者が納得しない」と話す。

 一方、再エネの買い取り価格を全国一律に設定したFITの見直しも課題だ。電力システムに詳しい東京大の荻本和彦特任教授は「再エネが(土地代などの安い)九州や北海道など偏ったエリアにだけ大量導入されてしまった」と指摘。そのうえで「送電線増強には多額の費用がかかるため、本来、電源は需要地の近くが望ましい。全体の社会コストが最小で済む適地に再エネの導入が進む仕組みを作るべきだ」と訴える。【袴田貴行】

ことば「再エネの出力制御」

 太陽光や風力などの再エネによる発電量が増えて電気が余る可能性が高まった際、電力会社の要請で再エネ事業者が電力供給を一時停止すること。2012年の再エネ固定価格買い取り制度(FIT)開始に伴い導入された「優先給電ルール」に基づき、電力会社は管内の火力発電所の運転抑制や域外送電のほか、揚水発電で水をくみ上げる動力に電気を使うなどの措置を講じる。それでも発電量が需要量を上回るとされる場合に再エネの出力制御に踏み切る。再エネ事業者は無補償で応じることになっている。

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 池袋暴走 元高級官僚だから? 「なぜ運転手が逮捕されないのか」疑問の声噴出
  2. 池袋暴走、ドラレコに音声 87歳男性「あー、どうしたんだろう」同乗の妻の問いに
  3. 結婚できない男 阿部寛主演ドラマが13年ぶり復活! 続編が10月期放送
  4. 政治 交わらない枝野氏と玉木氏 自民「1強」の責任、野党にも
  5. 国民民主党、自由党と合併で正式合意 自由は解散

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです