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273人が犠牲となった熊本地震から3年がたった。
前震と本震でともに最大震度7を観測し、住宅を中心に深刻な被害をもたらした。熊本では県外避難者を含め今も1万6519人の被災者が仮設住宅での生活を続けている。
ピーク時で4万7800人いた仮設暮らしの被災者のうち、なお3割以上が住まいの問題を解決できずにいる。復興に関わる公共工事などの影響で、被災者の住宅整備に人手が回らないためだ。
仮設住宅での暮らしが長引けば、生活へのきめ細かな支援や目配りがより重要になってくる。
とりわけ熊本の場合、自治体が民間の賃貸物件を借り上げて提供する「みなし仮設」の入居者が7割を占める。被災者にプレハブ型住宅の完成を待つ余裕がなかったためだ。
みなし仮設は東日本大震災で仮設住宅建設が遅れたことから宮城県などで普及した。プレハブ型と比べ、待たずに入居できるうえ、プライバシーの問題が少ないのが利点だ。
だが、その半面、被災者が各地に散らばるため、状況把握が難しかったり、1人暮らしの場合は孤立を招きやすくなったりする懸念がある。
仮住まいの長期化が生む問題の一つに、誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」がある。熊本地震の場合、孤独死した28人のうち22人がみなし仮設で暮らす人だった。
今後、孤立や孤独死を防ぐための手立てがいっそう必要になってくるだろう。各市町村は相談員による見守り活動を行っているが、要員は十分とはいえない。
民間団体の協力を広げることも含め、県などはさらに万全を期さねばなるまい。さまざまな催しなど、点在する人たちが集まるきっかけづくりも積極的に進めるべきだ。
今後、高い確率で発生が予測される南海トラフ地震では最大205万戸の仮設住宅のうち121万戸、首都直下地震では94万戸のうち87万戸をみなし仮設でまかなうことが想定されている。
大災害が起きる前に、入居者の情報を自治体がどう共有するかなど支援の連携を検討すべきだ。事前対策として、賃貸物件を把握するだけでなく、入居後のネットワークづくりも同時に考えていく必要がある。
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