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社説

金正恩氏の施政演説 旧態依然の発想のままだ

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 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、国会に当たる最高人民会議の2日目に施政演説を行った。最高指導者の施政演説は29年ぶりである。

 金氏は、完全な非核化まで経済制裁を維持する米国の姿勢を非難し、方針転換を迫った。3回目の米朝会談に意欲を示しつつ、米側の譲歩が条件だと突きつけた。また、制裁の長期化を前提に、自力で経済再建する決意を国民に求めた。

 2月のトランプ米大統領との会談では、非核化の第一歩である工程表作りすら合意できなかった。北朝鮮は寧辺(ニョンビョン)の具体的な廃棄対象も明示しなかったという。

 さらに今回の演説では「我々の核武装力の急速な発展という現実に恐れを感じた米国が会談に出てきた」とまで述べた。

 これは、当面核は手放さないということではないか。だとすれば、旧態依然とした発想のままだ。

 金氏は「年内は米国の決断を待つ」と述べた。来年11月には米国で大統領選がある。それより前に、米側と関係改善を図りたいという思惑があるのだろう。

 対話を続ける考えを表明したことは幸いだが、協議に当たり方針転換すべきなのは北朝鮮側だ。

 昨年6月のシンガポール会談を前に、金氏は核放棄という戦略的決断をしたのではないかとの期待もあった。ところが、そうではなかったという厳しい見方が国際社会で広がっていることを理解する必要がある。制裁解除が望める状況にはない。

 南北融和に傾斜する韓国政府の姿勢も懸念材料だ。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は施政演説に関し、金氏が非核化の意思を再確認したとして「高く評価し、歓迎する」と述べた。近く金氏との会談を行う方針も表明した。

 再び緊張が高まる事態は避けたいという韓国の事情は分かる。民族同士が手を取り合って問題解決を主導したいとの思いもあるだろう。

 ただ、文氏は米朝間で板挟みとなっている。トランプ氏は11日の会談で、現状での南北経済協力の再開に否定的な考えを示した。一方、金氏は施政演説で韓国政府に「我々の立場と意思に共感し、歩調を合わせるべきだ」と圧力をかけた。

 文氏は、会談で金氏を説得できるのか。不安が残る。

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