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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/250 第四話 黒武御神火御殿=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

「甚三郎さん!」

 お秋の声だ。前方の霞(かすみ)のなかから聞こえてくる。鐘はまだ鳴っている。

「どこにいるの?」

「ここだ、ここだ!」

 息を切らしながら、甚三郎は声を振り絞って応じた。すると、霞のなかにぽつりと提灯(ちょうちん)の灯がともった。

「この明かりが見える? こっちよ!」

 甚三郎と馬乗袴(ばかま)の侍は、上下左右に揺れる提灯の灯を目指して駆けた。二人の走りで風が流れる。霞が退(ひ)いてゆき、視界が開けると、お秋が甚三郎が落としてしまった荒縄を両手に巻き取り、伸び上がるようにしてこっちを見ていた。提灯を手にしているのは正吉で、やっぱり背伸びして足を踏み換えながら、

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