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ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

陸上の日本選手権男子100メートル決勝を制し、ガッツポーズする山県亮太=山口市の維新みらいふスタジアムで2018年6月23日、徳野仁子撮影

アスリート交差点2020

再現力 常にハングリー精神=陸上・山県亮太

亮太=ジャカルタのブンカルノ競技場で2018年8月26日、徳野仁子撮影

 春からのシーズンを前に、2月下旬から1カ月ほど、米フロリダ州のIMGアカデミーで合宿をしました。同行した仲田健トレーナーと体の構造や走りについて書かれた研究論文を毎日一つずつ読み、新たな発見が得られました。

     昨季の100メートルは8月のアジア大会で10秒00、9月の全日本実業団対抗選手権は10秒01で、技術的にも「いい走り」と評価できる状態でした。それでも、経験上、変化を恐れれば、うまくいかなくなってしまう。ハングリー精神を持って、新しい材料を求めることが大事です。コーチを付けずに自分自身でコーチングしているため、研究論文を読むことにしました。

     研究論文は専門用語が多いので、分からない言葉が出てくるたびに仲田トレーナーに解説してもらいました。テーマは股関節の筋肉やスプリント動作、心理などさまざま。一つ一つのトレーニングでの体の使い方をより深く考えられるようになりました。

     冬場には、これまで取り組んできたウエートトレーニングなど体作りも継続して行いました。現在は一部の筋肉が強くなったぶん、バランスが少しだけ崩れていますが、ベースは上がっています。バランスが整えば、昨年より速く走れる自信はあります。今は、ウエートトレーニングを続けながら、バランスを整えています。

     アカデミーでは、テニスの錦織圭選手とも一緒でした。互いに練習を見たほか、練習以外でもビリヤードに行くなど一緒に過ごさせていただきました。錦織選手を見て、感じたことは「自然体」です。練習中に動画を撮らせてもらったのですが、嫌な顔をせずに「いいよ」と言ってくれました。大会結果に対し、ドンと構えていて肝が据わっていました。うまくいかなかった時も、気にしすぎずに気持ちを切り替えることも必要だと感じました。

     9~10月にドーハで世界選手権があります。世界選手権では思うような結果を残せていないので、東京五輪へ良いイメージを作りたいです。(あすは卓球・伊藤美誠です)(タイトルは自筆)


     Q 印象に残る門出や人生の転機は何ですか?

     A 最近では2017年の右足首の故障が転機でした。春先に痛め、6月の日本選手権までに調子は上がらず、100メートル6位で同年の世界選手権代表も逃しました。当時、日本選手初の100メートル9秒台を最大の目標に掲げていました。「もし、他の選手が先に9秒台を出せば、何のために走ればいいのか分からなくなるのでは」とも思い、走る意味をもう一度考え直しました。

     その期間に「走ることで、多くの人に感動を与えたい」という現在の考えに至りました。本来は故障などせずに気づければいいのですが、追い込まれて初めて分かることもあります。競技人生で考えれば、プラスになったと思っています。


     ■人物略歴

    やまがた・りょうた

     広島市出身。2015年4月、セイコーホールディングス入社。16年リオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダル。18年8月のジャカルタ・アジア大会は10秒00で銅メダル。26歳。