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社説

ノートルダム大聖堂火災 人類の宝保護へ総点検を

 信じられない思いでニュース映像に見入った人も少なくないはずだ。パリ中心部にあるノートルダム大聖堂で、大規模な火災が発生した。

     高さ約90メートルの尖塔(せんとう)が焼け落ち、屋根も3分の2が焼失した。

     内装などに多くの木材が使われ、火が広がった。木造の歴史的建造物が多く、火災による焼失の苦い経験を繰り返してきた日本にとってもひとごとではない。

     約850年の歴史を持つゴシック建築を代表する建造物で、大聖堂を含む一帯は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている。

     しかし教会としての宗教的価値だけにとどまらないところが、その存在を特別なものにしている。

     ドゴールら歴代大統領の国葬や2015年のパリ同時多発テロの犠牲者追悼ミサの会場ともなり、フランス国民の心のよりどころともなってきた。それだけに、焼損の衝撃と喪失感は想像に難くない。

     仏捜査当局は、昨年4月から行われている改修工事が出火に関係していると見ている。文化的にも大きな損失であり、残念だ。

     マクロン仏大統領は5年以内に再建する方針を表明した。専門家の中にはもっと長期間を要するとの意見もあり、楽観はできない。

     再建には数百億円かかる見込みだ。すでに仏経済界をはじめ国内外から1000億円以上の寄付の申し出があるという。

     パリを象徴する観光名所として世界中から年間約1300万人が訪れ、日本人にもなじみが深い。誰もが知る大聖堂だからこそ、これほど世界の関心が集まり、支援が広がっているという側面もあるのだろう。

     一方、同じ世界遺産でも、シリアの「古代都市アレッポ」など、紛争や開発などで価値が失われる可能性がある「危機遺産」は、自然遺産を含めて54件ある。

     国際的な枠組みでの修復支援も可能な制度だが、財政的な事情や政治情勢でそれもままならないものもあるのが現状だ。

     人類全体の普遍的な宝であり、未来へのしるべともなる。地域の差も、価値の大小もないはずだ。

     広く世界に目を向けることを忘れたくない。

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