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社説

日米貿易交渉スタート 同床異夢の懸念が消えぬ

 日米の思惑が異なる「同床異夢」の交渉である以上、自国優先を振りかざすトランプ大統領の圧力に日本が押し切られる懸念は消えない。

     日米両政府は閣僚級の貿易交渉の初会合を開いた。焦点の農産物や自動車を巡っては、日本が警戒していた強硬な要求はなかったという。

     日本の農産物市場開放は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で日本が認めた水準を軸に交渉することになった。米国抜きのTPPが発効し、対日輸出で不利になった米国が交渉を急ぎたい面もあるようだ。

     会合後、茂木敏充経済再生担当相は「よいスタートが切れた」と振り返った。夏の参院選に向け成果をアピールしたい思惑もあるのだろう。

     だが交渉はこれからが本番だ。大統領選を来年に控えるトランプ氏にとって、農家や自動車労働者は重要な票田だ。日本から譲歩をもぎとろうと圧力を強める可能性がある。

     農産物ではTPP以上の開放を求める声が米国に根強い。そうした要求に日本が応じてしまうと、TPPの参加国よりも、離脱した米国が有利になる。これでは本末転倒だ。

     自動車で懸念されるのは、米国が輸入に上限を設ける数量規制を持ち出してくることだ。

     トランプ政権は昨年、北米自由貿易協定の見直しで事実上の数量規制をメキシコとカナダにのませた。貿易赤字削減の切り札と位置付けている。だが国際ルールに反する措置は受け入れるわけにはいかない。

     もう一つ気がかりなのは、輸出に有利になるよう自国の通貨を安くする措置を禁じる「為替条項」の導入を米国が主張していることだ。

     市場介入などによる意図的な通貨安誘導の回避は、日米などが既に合意している。ただ金融緩和の結果としての通貨安は国際的に容認されている。法的拘束力の強い通商協定に為替条項が入ると、日本の金融政策が米国の意向に縛られかねない。

     交渉の行方は、来週予定されている日米首脳会談でトランプ氏がどう発言するかがかぎを握る。

     安倍晋三首相は「日本は自由貿易の旗手の役割を果たす」と強調してきた。ならば日米交渉が世界の自由貿易体制をこれ以上損なう結果にならないよう、トランプ氏に働きかけるべきだ。

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