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モリシの熊本通信

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早期の区画整理求める声 /佐賀

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 熊本地震の発生から14日で3年。私は熊本市に自宅とオフィスを置いているが、日々の暮らしの中で地震の影響を実感する機会は、めっきり減った。しかしながら、2度の震度7を観測した熊本県益城町では、今もまだ地震の爪痕が色濃く残る。

 益城町では今、復興土地区画整理事業が進む。県が主体となって進める区画整理事業は、益城町の木山、宮園、寺迫地区の一部、28・3ヘクタールが対象。事業完了まで10年という大型事業だ。

 対象地区の一部は道路幅が狭い。熊本地震の発生直後、倒壊家屋の影響もあり、緊急車両が通行できないケースも発生した。こうしたことを教訓に熊本県は、災害に強いまちづくりの実現を事業目的の一つと位置付ける。

 今月上旬、益城町の区画整理地区を歩いた。まず目に飛び込んできたのが、前後にずれた擁壁。近隣住民によると、地震によって破壊されたのだという。近づいてみると、ずれた擁壁の間に自転車が挟まっている。自転車はフレームが大きくゆがみ、原形をとどめていない。

 地区内は更地が多い。雑草が伸びた場所も目立つ。基盤整備が終わるまでは、原則として区画整理地区内での新築や増築ができないことを思い出した。益城復興事務所は「何らかの事情がある場合は個別に相談に乗る」としているが、建築が厳しく制限されることに変わりはない。

 取材に応じた住民の男性(69)は、「事業に時間がかかり過ぎれば、仮住まいを続ける住民たちはもう戻ってこない」と指摘。その上で「このままでは地域コミュニティーが維持できない」と怒りをにじませた。別の住民男性(69)も、「まずは事業のモデル地区を作るなどして事業をスピーディーに進めてほしい」と訴える。

 防災面などから区画整理が必要であることは、多くの住民が理解している。しかしながら、時間がかかり過ぎた場合、どうなるか。地区の外で生活再建を目指す住民が出てきてもおかしくないことは、容易に想像できる。復興とは何か。益城町を歩き、改めて考えさせられた。


 ■人物略歴

田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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