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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「くりびつ」「りーむー」「しーたく」…

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 「くりびつ」「りーむー」「しーたく」……いわゆるギョーカイ用語で「びっくり」「無理」「タクシー」だという。この手の逆さ言葉は仲間内の隠語の定法で、古くは「ショバ=場所」「ドヤ=宿」などがある▲催しの入場券などを会場近くで転売するダフ屋も「ダフ=札(ふだ)」から生まれた。さて、その「札」の販売の話だが、総数約1000万枚、総額820億円となると生半可(なまはんか)でない。2020年東京五輪・パラリンピックのチケットの話だ▲うち五輪の開閉会式と32競技のチケットの抽選販売の申し込み受け付けが来月9日に始まる。公式販売サイトでのネット受け付けとなるが、最も高額な席は開会式の30万円とか。なんだかダフ屋のプレミアがついたような値段である▲ただ五輪で近年目立つのは、買い占めや高額不正転売で一般の人がチケットを入手できない事態だ。平(ピョン)昌(チャン)五輪で人気競技の空席が目立つ珍事が生じたのもそのせいらしい。正規の「札」ならぬ不正な「ダフ」の封じ込めは必須(ひっす)だろう▲6月には入場券の転売禁止の法規制が始まる。ネットオークションなどの運営大手はチケットの出品禁止を決めた。チケットには実際に観戦する人の名前が登録され、公式サイトでの定価の譲渡以外には転売はできない仕組みである▲つまりは約780万枚の五輪チケットを必要な人の手に公正に過不足なく行き渡らせる前代未聞の巨大プロジェクトとなる。「必要な人」の中にはネット利用が苦手な人がいるのも、どうかお忘れなきよう。

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