M87銀河の中心にある巨大ブラックホールの影(中央の暗い部分)をとらえた画像=国立天文台など国際研究チーム提供
田中泰義 毎日新聞 くらし医療部長
「ブラックホールをとらえた」という宇宙に関する研究が発表され、日本を含む各国の新聞で大きく報じられました。写真で、ドーナツ状の真ん中にある黒い部分がブラックホールで、宇宙の謎を解明する手がかりになると期待されています。毎小の読者がいる地球も宇宙の一部ですね。私は「なぜ私たちという存在があるのか」という哲学的なテーマの答えを得られないかなと思いをはせています。
ブラックは英語ではblack、ホールはholeと表記し、それぞれ黒、穴という意味があります。つまりブラックホールとは「黒い穴」で、とても強い重力を持っています。
重力というのは地球にもあります。私たちがジャンプしても地上に戻ってくるのは、重力によって地球の中心方向に引っ張られているからです。ブラックホールの重力は何でも引っ張りこんでしまうほど強力で、光も抜け出せず、真っ暗な状態になるわけです。
光がない状態は夜と同じように、ものが見えにくいですね。ブラックホールも存在は約100年前に予測されていたのですが、なかなかその姿をとらえることができませんでした。
本間希樹国立天文台教授ら日本やアメリカなど17か国・地域の研究者は、ブラックホールの周辺から出ている電波をとらえれば、ブラックホールの輪郭が浮かび上がると考えました。南アメリカのチリなど世界6か所の電波望遠鏡で観測。また、観測データから、高品質の画像を得る技術なども開発しました。その結果、地球からずっとずっと遠い場所で、今回のブラックホールの撮影に成功したのです。
宇宙にはたくさんのブラックホールがあるそうです。ブラックホールの特徴を知ることは、約138億年前に誕生した宇宙の正体を探る上でとても重要なのです。
なお、地球の近くにはないので吸い込まれる心配はありません。
医学や地球温暖化、原発などを担当。学生時代はオーロラを専攻した理系人間。本物が見たくて休職し、アメリカのアラスカ大学に留学。40代でバイオリンを始めた。1966年岐阜市生まれ。