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余録

イスラエルの作家、アモス・オズ氏が…

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 イスラエルの作家、アモス・オズ氏が79歳で死去したのは昨年暮れだった。パレスチナとの紛争を人種・宗教の対立でなく「土地や家をめぐる争い」と端的に言い表し、「ならば、妥協によって解決できる」と説く和平派で知られた▲保守的な家庭に育った。だがイスラエルがパレスチナ人の住むヨルダン川西岸を占領した第3次中東戦争(1967年)に従軍し、民族間の悲劇を目にした。平和運動を主唱し、イスラエルが占領地を返還し、パレスチナ独立国家と共存する「2国家解決」を訴えた▲ユダヤ人やパレスチナ問題をテーマとする作品を残し、ノーベル文学賞候補にも挙げられ、死去の際は大勢の文化人や政治家が悼んだ。右派で強硬派のネタニヤフ首相も「意見の違いはあったが」と言いつつ作家としての業績をたたえた▲そのネタニヤフ氏は今月の総選挙で勝ち、5期目の首相就任へ組閣に動き出した。選挙前には、再選されれば西岸にあるユダヤ人入植地を併合すると発言し、オズ氏の唱えた「占領地の返還」とは対極の姿勢を示した▲世論の右傾化が勝利を後押しした。パレスチナとの長引く対立を背景に、国内メディアは親ネタニヤフ色を濃くし、選挙で左派・和平派は大幅に議席を減らした。世界中で広がる自国第一主義の影響もあろう▲友人のトランプ米大統領は「世紀の取引」と称し、新和平案を準備中だが、それに「2国家解決」が盛り込まれないとの観測もある。オズ氏と和平派には実にもどかしい成り行きである。

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