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あした元気になあれ

小国綾子記者の「元気」を追いかけるコラム。

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あした元気になあれ

8年ぶりのありがとう=小国綾子

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 前回の本欄コラム「花は咲く」でも触れた通り、かつて暮らした米国ワシントンDC郊外を8年ぶりに訪ねた。どうしても会いたい人がいた。太って陽気なエドと、ガリガリで教えたがりのイーディス。80代前半のユダヤ人夫婦だ。私にとっては、年の離れた友だちで、米国社会に戸惑った時の貴重な指南役でもあった。

 東日本大震災の後、誰より案じてくれたのも彼らだ。当時、私は日本人を中心とした合唱団にいて、団員の一人が教会の牧師だったことから、その教会を会場として借り、復興支援のチャリティーコンサートを開こうとしていた。エドは「行くよ」と約束してくれた。

 ところが、コンサートを間近に控えたある日、エドは普段見せない厳しい表情で私に尋ねた。「宗教曲は歌わないよね。お祈りはないよね。宗教色のない演奏会だよね」。うなずく私に、彼はまっすぐなまなざしでこう言った。「僕ら夫婦はユダヤ教徒で、キリスト教の教会に足を踏み入れたことはない。でも今回はアヤコの生まれた国のために何かしたいから、教会に行くし寄付もする。でもこれは僕らにとって決して軽い覚悟じゃないこと…

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