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岡崎 武志・評『東京クライシス』『ゆうゆうヨシ子さん』ほか

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今週の新刊

◆『東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美 』安生正・著(祥伝社/税別1700円)

 ときは真夏、関東の雷と竜巻が変電所を襲い、豪雨は荒川を決壊させる寸前。大規模停電が起き、鉄道はマヒ、帰宅困難者が街にあふれ出し、都心はパニックに!

 安生正『東京クライシス』は、未曽有の災害に見舞われた東京の混乱を、きわめてリアルに描いた。グズな政府の対応が危機管理能力のなさを暴露……という展開は、小説であることを忘れる。そんな中で孤軍奮闘するのが内閣府企画官・文月祐美(ふづきゆみ)。災害対応の専門家として、毅然と国難を乗りこえる。

 国民に目を向けず、「政治そのものが目的になっている」内閣に対し、現場で自ら判断し対処する人たちがいる。クビを覚悟で行動するのは仕事への誇りがあるから。無責任の連鎖の前で、文月と彼らが持ち場を死守する姿は感動的だ。

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