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文芸時評

4月 平成の終わりに 下降と没落の時代に位置して=田中和生

村上龍さん=近藤卓資撮影

 一九八九年にはじまった、平成が間もなく終わろうとしている。ふり返ってみると、九〇年代は文学作品に対する批評も活発で、文学史的な流れがまだ見えやすかった。そこでは、近代的なリアリズムや私小説的な作品が批判される一方で、ベストセラー作家でもあった村上龍や村上春樹の作品がよく論じられていた。よくも悪くも、中心が見えやすかったのである。しかし二〇〇〇年代以降は文学的な評価が多様化した結果、文学史的な流れは消えて作家たちは孤立化した。

 象徴的なのは、出版業界の売り上げがもっともよかったのが、九六年だったということだろう。つまりそれ以降の二十年以上は、現代文学がなにをしているのかが見えにくくなり、また本が売れないことで影響力も失いつづけてきた期間だった。だから現代文学にとっての平成とは、平和が達成されるどころではなく、下降と没落の時代だったと言える。もちろんそれは個々の作家たちの責任ではないが、現在の文学作品がそういう場所に置か…

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