堺市の竹山修身市長が、政治資金収支報告書に多額の記載漏れがあった問題の責任を取るとして、辞職を申し出た。
関連する三つの政治団体が大阪府選管に届け出ていたカネの出入りは、2017年までの6年間で2億4500万円だった。だが記載漏れは2億3300万円にも上る。収支が一気に倍に膨らんだ。
団体間寄付や政治資金パーティー収入の未記載が多かったというが、有権者の目の届かない形で、億単位のカネが不明朗に処理されていたのは見過ごせない問題だ。会計処理のずさんさにもあきれる。
3団体のうち二つは竹山氏の次女が会計を担当していたが、会計帳簿を備え付けていない事例があった。
問題発覚後、報告書を修正したが、同じ振込明細書のコピーを複数の団体で使い回す二重計上も見つかった。いずれも、政治資金規正法に抵触する疑いのある行為だ。
記載漏れ自体、規制法違反の疑いがある。市民は竹山市長と家族に対する告発状を大阪地検特捜部に出している。
竹山市長は記載漏れを会計上のミスと釈明したうえで「天地神明に誓って私的流用はない」と強調する。
だが帳簿すらないのでは、裏金づくりなど何らかの目的があったと疑われても仕方ないだろう。事務所の運営やスタッフ選びも政治家の責任のはずだ。
政治資金規正法の趣旨は、政治家がかかわる団体への寄付やパーティー収入などをガラス張りにして市民の監視を受け、公正を保つことだ。
だが5万円以下の寄付や、20万円以下のパーティー収入に関しては、領収書や支出者の氏名を報告する必要がない。不記載が多額に上るケースもチェックが難しい。
このため国会議員の政治団体に関しては、07年の法改正で第三者の弁護士らが監査する制度がある。
今回のような処理がまかり通るなら、県知事や政令市長らに対象を広げることも検討すべきではないか。
竹山市長は辞職表明の記者会見で、「公職を離れても説明したい」と述べたが、具体的な方法などは示していない。辞職を幕引きに使い、説明責任を果たさないまま退場することは許されない。