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みんなのごみ

廃品回収 紛れる違法業者

違法業者と許可業者の違い

 <くらしナビ・環境>

 引っ越しなどで発生する粗大ごみ。高齢社会を迎え、遺品の整理や生前整理に注目が集まり、一度に大量の粗大ごみを処分する機会も増えている。だが、自治体では一度に出せるごみの量が決まっているなど対応が遅れている。その「穴」を埋めるように、違法な回収業者が回収を担う構図がある。

 ●自治体の許可得ず

 「不用品、無料で回収しています」

 引っ越しシーズンを迎えた3月、廃品回収業者が拡声機を使って呼び掛けながら、住宅街を軽トラックで徐行運転する。トラックの荷台には、住民から回収したとみられるストーブや扇風機といった家電や、タンスなどの家具が積まれている。

 ありふれた日常の光景だが、実は、その業者の多くが自治体から必要な許可を受けずに違法に廃品を回収している。家庭から出る一般ごみを回収するには市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要になるが、多くの業者は産業廃棄物処理業や古物商の許可しか得ていない。このような業者が一般ごみを回収すると、廃棄物処理法違反となるのだ。

 廃棄物行政を所管する環境省は「一般ごみの回収許可を得ていなければ、廃品をリサイクル品として業者が有料で買い取る以外は全て違法行為」との認識だ。同省は国民に違法な業者を活用しないよう注意喚起を続けている。だが、一向に業者が姿を消す気配はない。

 ●増えるトラブル

 「不用品回収」「無料見積もり」「即日回収」--。家庭のポストに投函(とうかん)される回収業者のチラシには、太文字で目立つうたい文句が並ぶ。チラシを見た千葉市内に住む60代女性は昨年3月、壊れた電子レンジを業者に引き取ってもらった。「家の前まで来て、その場で回収してくれる。手間もかからず感謝している」と話す。ただ、悪質な業者も中には存在する。国民生活センターによると、全国から寄せられた廃品回収サービスの相談件数は1361件(2017年度)にもなり、ここ10年では1000件以上で推移し、高止まりが続いている。

 違法に回収されたごみはどうなるのか。環境省によると、家電などを分解して得られる金属を海外向けに輸出することがあるという。売れずに残った大量のごみは倉庫に保管され、悪質な場合は空き地などに不法投棄されるケースも報告されている。

社会のニーズ追いつかず

 近年では遺品整理や生前整理などで大量の粗大ごみなどを処分することが増えている。ただ、自治体の場合は一度に出せるごみの量が制限されていることも多く、社会のニーズに対応できていないのが実態だ。違法業者が後を絶たない原因はここにあるのだ。

 違法業者とのトラブルを防ぐため、住民が利用しやすい制度づくりを目指す自治体も出てきている。東京都町田市は昨年10月、新たに回収許可を与えた民間業者を希望者に紹介する制度を始めた。

 小金井市に住む大上真一さん(67)は、制度を活用して実家の遺品整理をした。昨年春までに両親が亡くなり、実家は空き家となった。父が残した文学書などは約1万冊。家具も含めて、処分量は4トントラックで3、4台分にもなった。「膨大な量で途方に暮れた」と大上さんは振り返る。

 親族で遺品整理を進めながら、処分してくれる業者を探した。最初に見積もりを依頼した民間業者の処分費用は70万円。その後、町田市の制度を知り、見積もると半額の35万円に抑えられた。今年2月、遺品整理を終えた。実家が空き家となって1年が経過していた。大上さんは「遺品整理がこんなに大変だとは思ってもいなかった。悩みの種が解消し、今はすっきりした気持ちだ」と話す。都内では八王子市が2016年から同様の取り組みを始めている。だが、市区町村ごとにルールも多様で「同様の制度が全国でどれだけあるか把握できていない」(環境省)のが現状という。

 違法業者とのトラブルは今も後を絶たない。ゲリラ的に街中に出没し、業者の所在地を特定するのも一苦労だ。ある自治体の担当者は「業者がどんな筋の人かは分からず、対応するのが正直怖い」と打ち明ける。取り締まる自治体側は対応に苦慮している。

 関東近郊を中心にごみ回収をしている業者の代表が毎日新聞の取材に応じた。この業者は産業廃棄物処理業の許可しか持っていない。回収が違法行為であることを認めつつ、主張した。「処理量が制限されている制度の不備を私たちが補っている。社会にとって『必要悪』だ。必要とされる間は、私たちは存在し続けるだろう」【鈴木理之】

      ◇

 私たちの日々の生活とは切っても切れないごみ。だが、捨てられたごみの「その先」を考えることは少ない。ごみの常識やごみ行政の「矛盾」を現場から見つめる。=次回は5月29日掲載


粗大ごみ

 家庭から出る家具や寝具、家電製品などの大きなごみ。市区町村で処理を担う「一般ごみ」の一種。自治体では1辺の長さが30センチを超えるものを粗大ごみとする場合が多い。可燃ごみは焼却され、不燃ごみは埋め立て処分される。捨てる際には自治体に事前申し込みが必要で、「粗大ごみ処理券」を購入して対象ごみに貼り付けるのが一般的。家電リサイクル法で指定される冷蔵庫やテレビなどは家電量販店などに引き渡さなければならない。

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