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東急不動産ホールディングス代表取締役会長・金指 潔さん

金指潔さん

◇世界から見て魅力ある街づくりを進める

     来年に開催が迫った東京オリンピック・パラリンピックを前に、都心の至る所で開発や再開発が進み「首都・東京」が大きく変貌している。首都機能がどう高まっていくのか、全国でグループの総合力を生かした新しいライフスタイル提案型の街づくりを展開する東急不動産ホールディングスの金指潔会長に、これからの都心の開発のあり方や同社の役割について聞いた。(聞き手 本誌・田中公明)

     --現代における不動産業のあり方についてどう考えていますか。

     金指さん 5月1日に元号が変わり新たな時代が幕を開けました。今年はラグビーワールドカップ、来年は東京五輪と世界最大の国際スポーツイベントが連続して開催されます。前回の東京五輪では東海道新幹線が開通し、首都高速建設、国際競技場、日本武道館などインフラ整備が進み、雇用も拡大しました。今の東京の交通網はこの時にほとんど整いました。

     しかし、今は世界の政治・経済情勢が非常に不透明な時期で、国内では人口減少・少子高齢化が進んでおり、消費税増税も控えています。まさに正念場です。私ども不動産業界でできることは、世界中から人材や企業、資金、情報を呼び込み、世界から見ても魅力的な街づくりを進めることであり、それが私たちの使命だと考えています。

     --五輪を契機に東京はどう変わりますか。

     金指さん 五輪だけではなく、ここ数年、より魅力的な東京を実現するために、不動産業界のみならず、日本全体がしのぎを削っている状態です。私たちは、日本を訪れるお客様をはじめとして、国内外の多種多様なお客様を東京に迎え入れています。東急グループとしても各社の特徴を最大限発揮して、その本拠地である渋谷でインフラ整備を含めたオフィス、商業施設などの大規模開発を進めています。その中で当社は自社ビルの開発もありますが、地権者や行政と合意形成を経ながら再開発を進めて、魅力的な街づくりを実現することを目指しています。現在は渋谷のほか、竹芝、九段などで開発を進めています。多面的に東京を捉えながら東京の価値向上に努めていきます。

     --山手線を中心とした都心部の開発をどう見ていますか。

     金指さん 山手線エリアの面積は6000ヘクタール以上あり、広大な中でそれぞれの地域で街づくりが進められた結果、東京は世界でもトップクラスの魅力的な都市に成長しました。鉄道で埼玉から神奈川へ、都心から千葉へ、回遊性が高まることで経済圏がつながり、魅力的な広域東京圏「グレーター・トーキョー」を形成しています。丸の内、六本木、虎ノ門、渋谷、品川など東京で起きている都市間競争がそのまま東京の魅力向上につながり、ひいては、世界の都市間競争に打ち勝っていくことになるでしょう。

     また、世界から訪れるお客様には、東京を起点として、日本の隅々まで旅をして、日本の良さを知り、ファンになっていただきたい。当社は北海道では、世界に誇れるスノーリゾート「ニセコ」、沖縄においては、「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」など国内有数のリゾート地をはじめ、京都、沖縄、福岡、札幌、金沢など国内地方都市で中長期滞在型ホテルの開発などを展開しており、お客様の日本での快適な過ごし方をサポートしています。

     --東急グループの中でも、独自のスタンスで開発に取り組んで来られました。

     金指さん 1918年に発足した「田園都市株式会社」が原点です。欧米で生まれた「田園都市構想」をベースに、都市機能と豊かな庭園が共存する斬新な都市計画を提案し、多摩川台地を切り開いてできたモダンな街が現在の田園調布で、田園都市株式会社がその開発を手掛けました。それが東京急行電鉄へと発展し、53年に不動産部門が分離独立して当社が創業しました。

     その後、東急電鉄と当社の双方の社長は五島昇となります。五島のDNAは、そのまま当社の進取の精神と事業を通じて社会課題に取り組む姿勢を貫く「挑戦するDNA」に引き継がれています。私たちは、同じDNAを有し、東急電鉄は沿線の価値向上という視点で街づくりを展開しており、当社は総合不動産業として全国展開しています。

     --渋谷での東急不動産の役割は。

     金指さん 東急グループは「エンタテイメントシティSHIBUYA」を掲げ、渋谷の魅力づくりを推進しています。渋谷駅の1日当たりの平均乗降客数は300万人を超えるのに駅直結の商業施設が少なく、また大型オフィスも不足している状況です。渋谷の空室率は1%を切っており、建築中のビルでもすぐに埋まる状態で、賃料水準も上昇基調にあります。

     こうした環境の中で、当社では3月に「渋谷ソラスタ」が、10月に「渋谷フクラス」が完成します。渋谷ソラスタは当社本社ビルと周辺3棟のビルを建て替え、1フロア500坪を超えるオフィスを提供します。駅前に誕生する渋谷フクラスは、オフィスと商業施設の複合施設で、商業フロアには新たな「東急プラザ渋谷」が開業し、屋上広場に面した最上階には、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで人気を博している「セラヴィ」が日本初出店します。オフィスフロアには「GMOインターネット」が入居予定です。さらに訪日外国人にとって、東京都心部の玄関口となるよう、空港リムジンバスの発着場を含むバスターミナルや観光支援施設を整備し、渋谷の街の国際競争力を強化していきます。

     --都心に本社を構える不動産会社として、今後どう貢献していきますか。

     金指さん 8月に当社は渋谷に戻ります。渋谷を拠点とし、都心部で開発を進め、全国では、先ほど申し上げたホテル展開をはじめ、地域に愛される商業施設作りを進めていきます。グループにおいては、東急コミュニティー、東急リバブル、東急ハンズは全国に幅広い店舗網を構築し、海外も視野に展開を進めています。インドネシア、アメリカでの展開も本格化していきます。本社は渋谷にありますが、フィールドは、日本全国であり世界です。私たちはエリアを問わず、価値を創造し続けることで社会に貢献していかなければならないと考えています。

     --東急電鉄は今秋に、鉄道事業の分社化を予定していますが影響はありますか。

     金指さん そのこと自体は当社にとって直接の影響はないと考えていますが、東急電鉄を軸に求心力を高めていくことと、当社を含めた各社、各業がスピード感を持って、新たに付加価値を創造しグループのさらなる成長を図ることになります。私たちの果たすべき役割は、事業領域を拡大する遠心力の強化で、グループ事業に厚みを持たせ、拡大を図ることだと認識しています。

     かなざし・きよし 1945年東京都生まれ。68年東急不動産入社。代表取締役社長、東急不動産ホールディングス株式会社代表取締役社長などを経て、15年4月から現職。

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