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スミレの香り

次の夕刊小説「スミレの香り」 来月16日から連載開始

 又吉直樹さんの連載小説「人間」は5月15日に終了し、16日から馳星周さんの「スミレの香り」が始まります。

     馳さんは1965年、北海道生まれ。新宿・歌舞伎町を舞台にした「不夜城」で96年にデビュー、人間や社会の暗部を描き出す鮮烈な作風で人気を得ました。近年はジャンルを超え執筆。愛犬家でもあり、犬と人の絆を描いた作品群でも知られます。

     「スミレの香り」も犬が登場する小説です。主人公は、犬の訓練士をしていた男性。愛犬と共に各地を巡り、しつけ教室などを開く生活の中、何かが起きるようです。ハードボイルドな物語をご期待ください。

     挿画はイラストレーターの田中靖夫さん。自由自在なタッチで、物語世界を盛り上げます。


    作者の言葉

     若い頃のわたしは傲慢でいろいろなことがゆるせず、常に苛立(いらだ)っていた。

     それがいつの頃からだろうか、おまえは他者を断罪できるほどまっとうな人生を歩んできたつもりかと思い至るようになり、それまでゆるせなかったすべてのことをゆるした。

     すると、苛立ちや怒りは消え、平穏がわたしを包み込んだ。

     年を取るのは悪いことではない。他者をゆるせるようになって初めて、生きたいように生きることができるのだ。

     翻って、今の日本を俯瞰(ふかん)してみると、かつてのわたしのような苛立ちや怒りが満ちあふれているように思われる。他者をゆるすことのできない社会がわたしたちを取り囲んでいる。

     ゆるされない人間も、ゆるせない人間も不幸だ。

     この物語では、ゆるしについて書いてみようと思っている。

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