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余録

「頂いたお酒を開けて家業を休み…

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 「頂いたお酒を開けて家業を休み、昼も夜も家々で宴飲舞踏(えんいんぶとう)して東の空が明らむのに驚く人々も多かった」。町はお祭りのようになり3~4日にぎわったというのは、1868(明治元)年の東京の話である▲この年10月に明治改元が行われ、京都の天皇は江戸から名を改めた東京へ行(ぎょう)幸(こう)した。天皇が東京城に入ってほどなく、住民には2990樽(たる)の酒と肴(さかな)が振る舞われ、人々はこの「天杯(てんぱい)頂(ちょう)戴(だい)」に数日間にわたってお祭り騒ぎをくり返した▲まだ東京では新政府に反発も強く、改元も「上からは明治だなどというけれど治明(おさまるめい)と下からは読む」と皮肉られた。その懐柔と天皇の威光を示す天杯だったが、どうあれ庶民は家業をよそに久々にうさ晴らしできた▲さて「天杯」とはいかないが、需要増に増産で応じるビール会社もある。平成から令和の「10連休」があさってから始まる。あらかじめ休日が設けられ、一般の祝賀ムードの中で迎える天皇の代替わりと改元は日本の歴史で例がない▲お祭り騒ぎの好きな方にはまさに歴史的チャンスだろう。むろん旅行・外食産業などに特需をもたらす10連休で、その経済効果に期待する声も大きい。ただ宿の値段や行楽地の混み具合を聞いてたじろぐ人には長すぎるかもしれない▲あたかも列島を目に鮮やかな新緑が彩る季節である。「令和」の万葉の時代から変わらない野山の輝きはそう遠出せずとも楽しめる。変わりゆく時代と変わらぬものに静かに思いをめぐらす改元連休もいい。

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