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「外事に小事なし」。70年前の中華人民共和国の成立以降、首相と外相を兼任し、中国外交の基礎を固めた周恩来の言葉だ。日仏両国に留学した周は国際関係の重要さを十分に認識し、将来の外交展開に備えた布石も打っていた。
その一つが通訳の養成だ。1957年には将来の国連加盟を見越し、通訳育成のための10年計画作成を指示している。63年には計画に基づいてそれまで北京にしかなかった小中高生対象の外国語学校が上海、南京、長春、広州、西安、重慶の6都市に設置された。
その第1期生として小学3年生から長春外国語学校で日本語を学んだのが程永華駐日大使だ。テレビなどでなまりのない日本語を聞いた人も多いだろう。歴代最長の9年余の務めを終え、連休明けに離任するが、赴任した2010年以降、尖閣諸島をめぐるあつれきで悪化した日中関係は何とか正常化の軌道に乗った。周の布石が半世紀後まで効果を持ったわけだ。
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