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原発のテロ対策遅れ 安全に猶予は認められぬ

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 原発の新規制基準は、航空機テロなどに備えた施設の設置を義務づけている。その期限は、再稼働に向けた審査終了後5年以内だ。

 これまで再稼働した原発は関西、四国、九州の3電力で計9基ある。いずれも、施設は未完成だ。

 3電力は、想定より大規模な工事が必要になったなどとして、設置期限の延長を求めていたが、原子力規制委員会は認めない方針を決めた。

 これにより施設が未完成の原発9基は順次停止に追い込まれる。しかし、安全確保に猶予は認められない。規制委の決定は当然のことだ。

 テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」(特定施設)と呼ばれる。2001年の米同時多発テロを契機に、米原子力規制委員会がまとめた対応策を参考に導入された。

 原子炉建屋などに航空機が衝突しても、遠隔操作で原子炉の冷却が続けられるよう、緊急時制御室を設け、非常用発電機や冷却水を送り込むポンプなどを備える。

 3電力会社によれば、稼働中の原発9基すべてで施設の完成が期限より1年程度は遅れる可能性がある。最も早く期限が訪れるのが、九電川内原発1号機の20年3月だ。

 電力各社は、規制委に提出した資料で「本体施設でテロ対策に必要な機能は満たしている」などと訴えてきた。だが、原発の安全対策に終わりはない。対策の手を抜くと、重大な事態を招く。これは福島第1原発事故の教訓だ。

 川内1、2号機の場合、特定施設の設置費用は2000億円を超すという。再稼働を優先し、安全対策の更なる強化が後回しになったと見られても仕方がない。

 そもそも、特定施設の設置期限は一度延長された。当初は13年の新基準施行から5年以内だった。だが、再稼働に向けた安全審査が長引いたことから、原発の工事計画の審査後5年以内に見直されていた。

 本来なら、再稼働に先立ち設置されるべき施設である。再度の延期を規制委が認めていれば、その存在意義を問われることになったろう。

 原発が停止しても、電力不足を心配する必要がないことは、3・11後の経験から明らかだ。むしろ、原発はテロへの備えが脆弱(ぜいじゃく)であることを見つめ直す機会とすべきだ。

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