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「可能性得た」川口祖父母強殺の元少年「こども応援ネット」にメッセージ

元少年からのメッセージに目を通す県こども安全課副課長の服部孝さん=埼玉県庁で2019年4月9日、山寺香撮影

「自身の可能性に気づいてほしい」

 埼玉県川口市で2014年3月、祖父母を刺殺し現金を奪ったとして懲役15年の有罪判決を受け服役中の元少年(22)が、子どもの貧困の連鎖を解消するため県の呼びかけで設置された「こども応援ネットワーク埼玉」にメッセージを寄せた。元少年は、事件後に支援してくれる大人たちと出会うことで「可能性を得た」と振り返り、苦しい境遇にいる子どもに希望を与えられる「貴方(あなた)自身の可能性に気付いてほしい」と呼びかけている。

元少年メッセージ(全文)

 確定判決によると、少年は浪費を続ける母親と各地を転々とし、学校にも通わせてもらえなかった。同年3月26日、金を取ってくるように母親から執拗(しつよう)に言われ、川口市の祖父母宅を訪問。借金を断られたため祖父(当時73歳)と祖母(同77歳)を刺殺し、母親の指示で現金8万円などを奪った。

 県こども安全課副課長の服部孝さん(52)は事件の背景を追った書籍を読み、「少年がなぜ孤立し追い詰められていったかを知ることで、得られる教訓があるはず」と思ったという。当時、子どもの貧困対策を担当していた服部さんは県だけで対策を進めることの限界を感じていた。県内には子どものために活動する人がたくさんいたが、点で存在し、力を発揮しきれていなかった。「点を線で結び、力を結集させるのが県の役割」と考え、県内の企業や団体、個人、行政が情報を共有して連携する「こども応援ネットワーク埼玉」の設立に携わった。

 書籍に収録された元少年の手記からは、苦しい立場にいる子どもたちのため、「大人に一歩踏み出してほしい」と願う気持ちを感じた。ネットワークのメンバーならば元少年の言葉を受け止めてくれると思い、支援者を介して元少年にメッセージを依頼した。

 メッセージは500字ほど。事件から間もない裁判中の手記には「大人に対しては、疑う心しかない」「信じて裏切られるのが怖い」と書いていたが、今回のメッセージには「だけど、こうして(私に)“今”はある。多くの方に出会って、多くの可能性を得た」とあった。

 服部さんは「一歩踏み出して行動するのはエネルギーがいるが、その一歩がどれだけ子どもたちの可能性を生み出すか教えてくれている」と話す。今後は子どもを支えたい人たちが集まる講演会や会合などで、メッセージを伝えていくという。【山寺香】

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