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JR福知山線脱線 墓参700回の母「平成最後の戒めに」 式典で朗読

斎藤満さんの遺影に優しく語りかける父堅一さんと母百合子さん=兵庫県伊丹市で2019年4月25日午前7時9分、猪飼健史撮影
亡くなった斎藤満さん=田中雅之撮影
JR福知山線脱線事故の追悼慰霊式で「慰霊のことば」を述べる斎藤百合子さん=兵庫県尼崎市で2019年4月25日午前9時59分(代表撮影)

 JR福知山線脱線事故で長男満(みつる)さん(当時37歳)を亡くした兵庫県伊丹市の斎藤堅一さん(76)、百合子さん(76)夫妻が25日、事故現場の慰霊施設「祈りの杜(もり)」(同県尼崎市)で初めて営まれた式典に参列し、百合子さんが追悼の言葉を読んだ。「天国から帰ってきた満へ」。今も二人の中で生きる満さんに語りかけた。

     斎藤さん夫妻はこの日朝、自宅を出る前に花々や折り鶴が飾られた仏壇に手を合わせ、式典に臨んだ。ここに足を運ぶのは施設が完成し、遺族に公開された昨年9月以来だ。

     百合子さんは昨年8月、満さん宛ての手紙をしたため、祈りの杜にある「追悼の空間」に納めた。「もっともっと話をしたかった――」。手紙には率直な気持ちをつづった。ただ、事故状況を展示する隣のスペース「事故を伝える空間」は正視できなかった。

     事故後に続けてきた週末の墓参は700回を超えた。墓は大阪(伊丹)空港の滑走路沿いにある。命日が近づくと春風が心地よく、ヒバリのさえずりが聞こえる場所だ。「満、来ましたよ」と語りかけ、花を添える。「年月は過ぎても寂しく悲しい気持ちに変わりはありません。でも訪れる場所が『祈りの杜』と二つになり、満も私たちも忙しくなるかもしれませんね」。少しだけ明るい表情を見せた。

     祈りの杜は2015年に整備計画がまとまり、16年に着工。完成には時間を要したが、これまで遺族が立ち寄れる所がなく、斎藤さん夫妻は追悼の場ができたことを前向きに捉えている。「『天国から私たちの近くに帰ってくるんだな』と思えるようになりました。本当に電車が好きでしたから、車輪の音や警笛を聞きながら安全な運行が続くよう見守ってくれると思います」。現場に花々が咲き、四季を感じられる場所になればと願う。

     亡くなった乗客106人の遺族には、それぞれの気持ちがある。思い出したくない人も、心の中にとどめたい人もいる。「でも私はね、大好きな我が子に話しかけたかったから。『平成最後の戒め』との思いもあります」。百合子さんは追悼文の朗読を決めた理由をそう語り、堅一さんもうなずいた。「今日は悲しい顔はやめて、笑顔でお別れしましょうね。また会えるから。またね」【高尾具成】

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