連載もいよいよ今回で終わりです。最終回は「権力とメディア」「インターネットとメディア」について改めて考えながら、ジャーナリズムの今後についても展望します。
1999(平成11)年、新聞界は霞が関からの突然の通告に大騒ぎになりました。「行政命令で事前に記事を差し止める」という驚くべき発言が官僚の口から飛び出したのです。「行政命令で事前に記事を差し止める」ことは検閲であり、表現の自由や報道の自由を否定する明らかな憲法違反の行為です。ところが、人権擁護法案の策定を進める法務省人権擁護局総務課の上席補佐官が、報道による人権侵害への対策として「差し止め」に言及したのでした。
上席補佐官の発言は「報道により侵害された名誉の回復は難しい。蓋然(がいぜん)性の高いものは行政命令をもって記事を差し止めることなども視野に入れ、幅広く検討する」というものでした。人権侵害を防ぐためには、表現・報道の自由は規制されてもやむを得ないとの趣旨でした。
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