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ミドリムシ、コオロギ、人工培養肉…自給自足の宇宙食 地球も救う?

月で調達可能な食材で作った「月面ディナー」。上段中央の緑色のスープはミドリムシなどの藻類でできている=東京都中央区で2019年3月27日午後4時ごろ、斎藤有香撮影

 ミドリムシのスープに、たんぱく質は人工培養肉や昆虫で摂取――。人類が将来、月や火星に滞在する時代に備え、現地で自給自足するための研究や技術開発が世界で始まっている。人口がますます増える地球の食料問題解決の一助にもなると期待されるが、肝心の味と実現性はいかに?

 テーブルにステーキやサラダとともに、緑色のスープが並んだ。一見、普通のコース料理のようだが、月面で調達可能と考えられる食材を使った「月面ディナー」の試作品だ。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が3月、ベンチャー企業などと共同で考案した。ステーキは牛などの細胞を人工培養した肉、サラダは植物工場でとれた葉野菜という想定で本物の肉や野菜を使ったが、スープはミドリムシなどの藻類で作った。宇宙飛行士の向井千秋さん(66)は「ほどよい塩味でおいしい」と笑顔でスープを飲み干した。記者も試食させてもらったが、青のりの香りがふわりと漂う上品な味わいだ。

 ミドリムシの大量培養技術を持ち、事業に参画する「ユーグレナ」(東京都港区)の鈴木健吾・先端技術研究部長は「ミドリムシなどの藻類は栄養素を多く含み、宇宙でも地球上でも理想的な食料資源となり得る」と話す。ビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類の栄養素を含み、宇宙空間を飛び交う放射線に対する耐性が強いことも確認されているという。

 ただし、ビタミンなどは1日当たり0・5~1グラムで足りるが、ミドリムシだけで1日に必要なたんぱく質を摂取しようとすると数十グラム必要になるという。鈴木さんは「ミドリムシ100%のハンバーグを作ってみたことがあるが、味などに課題があった」と話す。

 一方、フィンランドに本社のある「エントキューブ」は、たんぱく質が豊富なコオロギを「スーパーフード」として飼育、販売している。牛を飼育して牛肉1キロを得るのに1500リットルの水が必要だが、コオロギ1キロなら1リットルで済む。温室効果ガス排出量も牛と比べて98%削減できるという。国連食糧農業機関は地球の食料危機解決の有力な選択肢として昆虫食を挙げる。

 価格は姿のままのコオロギが1キロ当たり30ユーロ(約3750円)から。ヘルシンキにはコオロギを料理に使うレストランもある。記者も食べてみたが、素揚げを使った前菜は香ばしくておいしかった。コオロギの粉末入りのパンを販売した店では行列ができたという。

 同社は今年2月、宇宙を模した地下約1400メートルの実験施設で、より適した昆虫選びや飼育方法などの研究を始めた。「餌に食品廃棄物を活用でき、環境に配慮した方法で確保できる昆虫は有望な食料だ」とアピールする。【斎藤有香、大場あい】

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