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社説

露朝首脳の初会談 米国にらみで双方の打算

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 双方の初顔合わせだけに終わり、非核化の実現に進展はなかった。

 ロシア極東を舞台にした北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長とプーチン露大統領との会談である。

 ロシア側は金氏の訪露を数年前から要請していた。この時期に実現したのは、2月にハノイであった米朝首脳会談が決裂したためだろう。露朝両国は核問題で協力を確認した。

 北朝鮮国営メディアによると、金氏はハノイ会談で米国が一方的な要求をしたため、地域情勢が再び不安定化していると不満を示した。そのうえで、朝鮮半島の平和と安全は米国次第だと強くけん制した。

 米国は完全な非核化実現まで制裁を維持する考えで、米朝協議は行き詰まっている。中国に加え、プーチン氏の後ろ盾を得て有利な対米交渉を進める狙いがあったようだ。

 また、北朝鮮にとって経済面で中国への依存度が高い状態は好ましくない。ロシアとの経済関係の強化を期待した面もあるように見える。

 金氏の祖父である金日成(キムイルソン)氏はソ連領に逃げて抗日運動を行った。ソ連崩壊後は中国の影響力が拡大して近年は距離があったが、金正恩氏はプーチン氏を前に露朝両国は「抗日大戦の戦友」と持ち上げた。

 しかし、ロシアとしても国連安全保障理事会決議に違反してまで大規模な経済支援を行うことはできない。経済制裁下の苦境から抜け出すには、非核化への道を歩むしかない。

 米国にらみで会談に臨んだのは、ロシア側も同じだ。

 プーチン氏は2008年に中断した6カ国協議の再開に言及した。北朝鮮が求める国際的な体制保証を協議するためだという。

 米朝両首脳はトップダウンでの直接協議を続ける意向で、即座に実現する可能性は低い。にもかかわらずプーチン氏が持ち出したのは、自国の極東戦略上、北東アジアでのプレゼンス拡大が必要だからだろう。

 シリアやウクライナ問題などで米露の対立は強まっている。北朝鮮への影響力の確保は米国に対する外交カードとなりうる。プーチン氏が中国と共に北朝鮮が求める段階的な制裁緩和に理解を示すのは、こうした思惑を含んでいるようだ。

 パワーゲームが前面に出るようでは、非核化実現はほど遠い。

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