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社説

トランプ氏の対日圧力 優先すべきは公正な貿易

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 安倍晋三首相がトランプ米大統領と会談し、日米両政府が始めた貿易交渉の早期合意を目指して、交渉を加速することで一致した。

     現実的には着地点を見通せる状況にもない。焦点の農産物と自動車を巡り、トランプ氏が米国だけに都合のいい主張を繰り広げたためだ。

     会談でトランプ氏は、日本に対し米国産農産物への関税の撤廃を求めた。その理由として「米国は日本からの輸入車に関税をかけていない」と事実誤認の話を持ち出した。

     実際は、日本が米国車への関税を既に撤廃したのに、米国は依然として日本車に関税をかけているのだ。

     農産物についても、日本は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で関税を下げている。米国がそのメリットを受けられないのは、協定から一方的に離脱したためである。

     貿易交渉の本来の目的は、互いに市場を開放し、経済全体の底上げを図るものだ。米国もTPP離脱前は自動車輸入関税の引き下げに合意していた。日米とも関税を下げるのが真に自由で公正な貿易である。

     もう一つの焦点の為替を巡っても米国の強引さが目立つ。首脳会談に先立つ日米財務相会談で、米国は通貨安誘導を禁じる為替条項の導入を議論するよう迫った。

     輸出に有利にするため為替介入などで意図的に通貨を安くすることを避けるのは、日米などが既に合意している。だが法的拘束力の強い通商協定に為替条項が入ると、日本の金融政策が米国に縛られかねない。

     トランプ氏は記者団に、5月末の訪日までの合意に意欲を示した。米国抜きのTPPが発効し、農産物輸出で不利になっていることへの焦りがある。来年の大統領選を控え、早期に成果を得たいのだろう。

     「5月合意」に言及したのは日本政府にも予想外だった。「現実味に乏しい」との見方が大勢だが、結果を急ぐトランプ氏が予測のつかない行動に出ることへの警戒が必要だ。

     首相とトランプ氏の会談は10回目だ。夕食会では大統領夫人の誕生日を祝った。参院選前に首脳の良好な関係をアピールしたいのだろう。

     首相が緊密ぶりを強調するのならその資産を活用し、トランプ氏を説得すべきだ。自由で公正な貿易こそ日米の国益につながるはずだ。

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