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養老孟司・評 『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』=橋本治・著

 (朝日新書・875円)

平易に広く思想語る

 橋本治の作品は大ざっぱに二つに分かれる。一つは『桃尻娘』に始まる文学作品で、もう一つは今回の作品のような批評、時評である。後者を私は思想と言っていいと思っている。でも日本社会の常識として、かならずしも思想書とは受け取られていないと思う。思想は難しい言葉で、抽象的に書かれていなければならない。そういう暗黙の決まりがあった。だから思想は哲学に占有されることになる。哲学とはわからないものなのである。だからわかりやすく具体的に書くと思想ではなくなる。橋本作品は常に後者である。

 今作品は、映画や政治的な事件を通じて、著者の生きた時代の社会の変化を、父権制の崩壊という面から論じている。著者はいわゆる団塊の世代で、読みながら、ああ、団塊だなあ、としみじみ思う。私は一世代上の年齢で、なぜかどこかが団塊の世代とは食い違う。親しい友人たちも多いし、家では家内も団塊の世代だから、団塊を忌避しているわけではない。ただなにかが違うと感じる。でもそれに明快な回答ができるわけではない。

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