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社説

高齢者の自動車運転 従来以上の制限が必要だ

 87歳の男性が乗用車を暴走させ若い母子をはねて死亡させた東京・池袋の事故を巡り、高齢ドライバーへの対応が改めて議論になっている。

     警察庁の統計によると、免許を所持する人のうち昨年死亡事故を起こした人の年齢別比率は、85歳以上の高齢者が最も高く、30代の5倍以上に達した。

     また、75歳以上の死亡事故は昨年460件で、全体に占める割合は14・8%と過去最高を記録した。3割がブレーキやアクセルの踏み間違えなど操作ミスだった。高齢による認知機能の衰えとみられている。

     高齢者の運転による事故が続いたため一昨年、免許更新時の検査で「認知症のおそれ」と判断されると医師の診断が義務づけられた。結果次第で免許が取り消される。だが、事故対策として十分とは言えない。

     免許に定年制を導入すべきかどうかが論点になる。ただし、加齢に伴う身体機能の低下や運転能力には個人差がある。年齢だけで線引きするには、なお慎重な検討が必要だろう。

     警察庁の有識者会議では現在、いくつかの対策が議論されている。

     一つは、免許を取り消すかどうかの「実車試験」の実施だ。免許は一度取得すれば実技試験なしで更新できる。最新の技能をチェックする必要性は高いのではないか。

     スイスなどで導入されている「限定条件付き免許」も検討テーマだ。誤作動に対応できる安全運転サポート車に運転を限ったり、地域や時間帯を決めて運転を認めたりする。

     対象者や条件をどう決めるのか難しいが、高齢者の中には免許の維持か返納かの二者択一を迫られるより幅広い選択肢があった方がいいとの意見がある。議論を深めるべきだ。

     75歳以上の免許自主返納者は年々増え昨年は30万人近くに上ったが全体の1割に満たず限界がある。交通手段の確保など返納者の生活の質が落ちない政策も充実させるべきだ。

     75歳以上の免許所持者は、現在560万人以上いる。2年後に610万人を超えると推計され、長寿化で当面高止まりするとみられる。

     運転制限については、受け入れ難い当事者は少なくないだろう。それでも、安全な交通環境の実現との均衡の上で、車社会の将来を考えていかなければならない。

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