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社説

天皇代替わりの儀式 憲法や常識と折り合いを

 天皇陛下の代替わりに伴う儀式がこれから本格化する。伝統を尊重するにしても、憲法の政教分離原則や今日の常識から外れたものであってはならない。

     天皇、皇后両陛下は、伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝し天照大神(あまてらすおおみかみ)に退位を報告した。神話に基づいて皇位の証しとされる三種の神器のうち、皇居内にある剣とまが玉の箱を侍従がささげ持ち、随行した。

     退位については、11の儀式のうち、4月30日の「退位礼正殿の儀」だけが政府の責任による国事行為で、他は全て天皇家の私的行事である。政府は公的支出も検討したようだが、宗教色が濃い行事であり、天皇家の私的費用である内廷費で賄われた。

     5月1日には皇太子殿下が「剣璽(けんじ)等承継の儀」で神器や天皇の印、国の印を受け継ぎ即位する。政府は皇室経済法で神器を「皇位と共に伝わるべき由緒物」と定めていることなどから、儀式は「宗教的意義を有するものではなく、政教分離の原則に反するものでもない」と説明する。

     同じ理屈で、即位を内外に宣明する10月の「即位礼正殿の儀」や「饗宴(きょうえん)の儀」まで即位に関する五つの行事は、全て憲法上の国事行為に指定されたが、何とも分かりにくい。

     しかも「承継の儀」は成年男子皇族だけが立ち会い、女性皇族は入れない。明治末に作られ戦後廃止された旧法に基づく「前例」にならった措置というが、今の一般的な社会感覚に照らし不自然さは拭えない。

     さらに曖昧なのは大嘗祭(だいじょうさい)の位置づけだ。新しい天皇が即位した年の収穫物を神々に供え、自ら食して祈る神道色の強い儀式である。政府も「国事行為ではなく皇室行事」と認めるが、同時に憲法が定める皇位継承儀式の公的性格を重視して、多額の費用は公費から支出する。

     大嘗祭は大正天皇が即位した時、天皇の宗教的権威を中心に国家統治を強める狙いで大規模なものになった。ところが平成の代替わりで戦前の形式が踏襲され、今回もほとんど議論がないまま引き継がれる。

     秋篠宮さまは昨年、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と異例の発言に及んだ。

     代替わりを祝うだけでなく、皇室行事のあり方を社会の原則や現代の考え方に即して議論していきたい。

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