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高齢者事故「娘の死は殺人」 発生3年、母が制度改正訴え活動

稲垣聖菜さんの遺影を見つめる母智恵美さん=さいたま市で2019年4月22日午後3時26分、中川友希撮影

 東京・池袋で87歳の男性が運転する乗用車が母子をはねて死亡させる事故が起き、高齢ドライバーへの対応が議論を呼んでいる。さいたま市では2015年、アクセルとブレーキを踏み間違えた80歳男性が運転する車に15歳の女子高校生がはねられ、亡くなる事故があった。母親の稲垣智恵美さん(49)は「このままでは事故を防げない」と免許制度の改正を訴えている。【中川友希】

 「頑張り屋さんだった。生きていれば、いろいろな人に影響を与えられたと思う」。智恵美さんは長女聖菜さんの遺影を見てほほえんだ。高校ではダンス部に所属し、多くの友達に囲まれていた。中学時代は体育祭でクラス全員分のミサンガを手作りするなど、何事にも一生懸命だった。

 事故が起きたのは15年12月23日。16歳の誕生日の2日前だった。父親からプレゼントされたお気に入りの靴を履いて、コンサートに向かう途中だった。

 さいたま市浦和区東高砂町で道路の端を歩いていた聖菜(せいな)さんは、暴走してきた車にはねられ死亡した。運転していた男性は聖菜さんに気づいて停止しようとしたが、誤って聖菜さんがいた左側にハンドルを切ったうえ、アクセルとブレーキを踏み間違えた。さいたま地裁は16年、「注意義務違反の程度が大きい」として、自動車運転処罰法違反(過失致死)に問われた男性に禁錮1年6月の実刑判決を言い渡した。

高校に入学した頃の稲垣聖菜さん(智恵美さん提供)

 智恵美さんは、聖菜さんが持っていたタブレット端末が折れ曲がっているのを見て「(事故ではなく)殺人だ」と憤りを覚えた。同時に、娘を守れなかった自責の念に押しつぶされそうになった。

 事故直後、聖菜さんの中学時代の同級生らが高齢ドライバーが免許を更新する際の基準を厳格化するようインターネットで署名を集め始めた。智恵美さんも自身のブログで活動を紹介し、集まった署名は今月までに約3万筆に上った。

 現在は、75歳以上の免許更新は1年ごととする▽75歳以上の免許更新には模擬運転テストを導入する▽タクシー利用補助や循環バス増便など、免許返納後の高齢者のために交通手段を充実させる――といった改善を訴えるが、多くは実現しないまま3年が過ぎ池袋の事故が起きた。「いつになったら同じような事故がなくなるのか」と感じる。

 ブログには聖菜さんの普段の写真を掲載している。「自分の娘や息子が事故で奪われたらどう思うか、等身大の娘の姿を見て、多くの人に考えてほしい」。対策が少しでも前に進むことを願っている。

 署名活動の詳細は智恵美さんのブログ(seina.jp)まで。

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