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青空の下で、能登の里海は凪(な)いでいた。野鳥の鳴き声が響き渡る。手押し車を押して歩く高齢女性を、ローカルバスやバイクが追い越していく。「なにしとるがや」「だら(ばか)にするな」--。地元民の怒声が飛び交った約30年前の光景が、うそのようだ。
日本海に突き出た能登半島の先端、石川県珠洲市に原発誘致計画が浮上したのは1975年。珠洲市が国に原発の適地可否調査を求める要望書を提出した。候補地の一つだった同市高屋町には89(平成元)年5月、関西電力の作業員らが現地調査に入り、反対派の住民が阻止行動に乗り出すなど大騒ぎとなった。
世の中を憂(う)しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば(世の中を辛く耐え難いと思っても、どこかへ飛んでいくことはできない。鳥ではないのだから)
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