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社説

新天皇陛下が即位 令和の象徴像に期待する

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 85歳から59歳へ。世代間で皇位が厳かに継承されたことを喜びたい。

     天皇が即位後初めて国民の代表と会う「即位後朝見の儀」がきのう皇居で行われた。新天皇陛下は「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、象徴としての責務を果たす」と述べられた。

     この表現は、前の天皇陛下の歩みと重なる。新陛下は平成の時代に作り上げられた象徴像を基本的に引き継ぐお気持ちを表明した。前の陛下のお務めを多くの国民が支持したことを考えれば、自然な姿だ。

     注目されたのは、前の陛下が即位時に「日本国憲法を守り、これに従って責務を果たす」と述べられていたおことばを、今回どう表現するかだった。言葉遣いはやや変わっても、基本姿勢は同じとみられる。

    国際的な視点生かして

     新陛下は皇太子時代、沖縄慰霊の日、広島・長崎への原爆投下の日、終戦記念日には子供の時から両親と一緒に黙とうしたことを明かし、現地を訪れて人々の苦難を心に刻んだと述べている。慰霊と平和への思いも引き継がれるだろう。

     一方、「日本社会の変化に応じて公務に対する社会の要請も変わってくる」とも語り、時代に合った公務を目指す意向を示していた。

     新陛下にとってライフワークといえるのは「水問題」だ。災害や環境、貧困、紛争に関わる世界的なテーマでもある。ネパールを視察した時、何時間もかけて、かめに井戸水がたまるのを待つ女性を見たことがきっかけだったという。2007年に大分県別府市で開かれた第1回アジア・太平洋水サミットや国連の国際会議で講演を行い、水問題に取り組むことの重要性を訴えている。

     新陛下は1983年から約2年間、英オックスフォード大に留学し、寮生活をしながら海外の空気に触れた。この経験が視野を世界に広げることにつながった。外交官出身の新皇后雅子さまとともに豊かな国際感覚を生かし、諸外国との交流にも一層力を尽くすだろう。

     新皇后さまは体調が上向きとはいえ、完全に復調したわけではない。公務の制限はやむを得ないだろう。

     新皇后さまは高齢者や子供、障害者へ思いを寄せ、盲導犬の普及を図るイベントに出席したり、児童養護施設を訪れたりしている。弱い立場の人たちの力になろうとする姿は共感を広げるはずだ。福祉に力を入れられた上皇后美智子さまの活動を継承しつつ、ご自身ならではの広がりを目指すのではないか。

     今回、世代間の皇位継承がスムーズに行われた。しかし今後も安定的な継承が行われるかどうかには重大な懸念を抱かざるを得ない。

     憲法2条は皇位を「世襲」と定め、皇室典範は継承資格を男系男子に限定している。しかし今度の代替わりで、直接の後継者となる皇太子は不在になった。陛下より若い皇位継承者は弟で皇嗣(こうし)の秋篠宮さまと長男悠仁(ひさひと)さまの2人だけだ。

    「女性・女系」論が焦点

     59歳の新陛下が高齢になれば、53歳の秋篠宮さまも高齢になっており、即位をめぐり、議論になる可能性もある。次の世代の悠仁さまがいずれ皇位を継承するとしても、男系男子で皇統を継ぐことへの重圧は計り知れない。

     皇位継承をめぐって最も重要な論点は「女性・女系天皇」を認めるかどうかだ。菅義偉官房長官はいったん、即位から間を置かずに皇位継承の議論を始める考えを示したが、その後、即位関連の儀式が終わる11月以降にすると軌道修正している。問題の重要性を考えれば、速やかに議論を始めるべきだ。

     すでに2005年11月、小泉政権下で有識者会議が女性・女系天皇を認める報告書をまとめている。だが、秋篠宮妃紀子さまの第3子懐妊を機に皇室典範の改正は見送られ、次の第1次安倍政権は議論そのものを棚上げにした。

     右派の人は男系男子でなければ天皇制の性格が根本から変わると主張する。しかし、男女のどちらを優先するかなどの問題ではなく、天皇制そのものの危機である。

     皇室の公務を担う皇族全体としても先細りしている。女性皇族は結婚すれば皇室を離れる。結婚後も皇族として残り、公務を続けられるように、女性宮家を創設することも検討する必要がある。

     イデオロギーの対立を超えて、建設的な議論を進めるのは政治の責任である。

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