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的川博士の銀河教室

546 はやぶさ2の挑戦

観測で人工クレーター確認

 探査機「はやぶさ2」チームはさる4月25日、小惑星(しょうわくせい)リュウグウに銅の塊(かたまり)を衝突(しょうとつ)させた地点を上空から観測し、人工クレーターができていることを確認しました(写真1の左)。小惑星でのクレーター形成に成功したのは世界初です。

     「はやぶさ2」が上空約1.7キロまで近づき撮影(さつえい)した画像と、インパクター(衝突装置)から放った銅の塊を衝突させる前の3月の画像(写真1の右)とを比較(ひかく)すると、リュウグウの表面がくぼんで、噴出(ふんしゅつ)物が周囲に積もって暗くなっている様子が確認できますね。これが世界初の小惑星表面にできた人工クレーターです。直径は10メートル以上に見えます(写真2)。

     直径が「10メートル以上」というのは、はやぶさ2チームが想定していた最大級のものだったそうです。深さがどれくらいかを現在解析(かいせき)中で、画像をもとに地形を詳(くわ)しく分析(ぶんせき)していく作業を急いでいます。

     4月5日に行われた実験では、「はやぶさ2」は、爆薬(ばくやく)を積んだ衝突装置を切(き)り離(はな)し、リュウグウの上空約300メートルまで降りたところで爆発(ばくはつ)させ、銅の塊を秒速2キロの高速でリュウグウに衝突させました(図)。爆発の際に破片が当たると探査機が壊(こわ)れるのでリュウグウの陰(かげ)に避難(ひなん)していた「はやぶさ2」が、リュウグウをぐるっと回って、4月25日、再び銅の塊の上空に現れたのです。そんな離(はな)れ業(わざ)を成功させて、世界初の快挙を確認したチームに、心からの拍手(はくしゅ)を送りたいと思います。

     JAXAの津田(つだ)雄一(ゆういち)プロジェクトマネジャーは、「狙(ねら)った場所から10~20メートルの地点に精度よく衝突させることができた。跳(と)び上がるくらいうれしい」と語っています(写真3)。

     リュウグウは、太陽系ができた頃(ころ)の様子を内部に保存していると見られていますが、その表面は、形成された頃からずっと太陽風や宇宙線などにより、「宇宙風化」と呼ばれる影響(えいきょう)を受けてきたと考えられます。だから、本当に太陽系形成時の「新鮮(しんせん)な」状態を見るためには、宇宙風化を受けていない小惑星内部の物質を露出(ろしゅつ)させる必要がありますね。そこで今回の「人工クレーター」という着想が生まれたわけです。

     今回の降下観測は、人工クレーター形成が成功したかどうかを確認することが目的でしたから、次は、おそらく5月後半ごろに、もう一度もっと近くまで接近して、新たに降り積もった物質を詳しく観測するオペレーションに臨むでしょう。そして条件が許せば、そこに着陸して、サンプル採取に挑(いど)む決断をするかもしれません。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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