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中村桂子・評 『手で見るいのち ある不思議な授業の力』=柳楽未来・著

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 (岩波書店・1620円)

ここにある学びの原点

 東京にある筑波大学附属視覚特別支援学校の生物教室での授業が始まろうとしている。担当の武井洋子先生が、「今日から骨を使います」と生徒たちの前に一人一個ずつ骨を置いていく。名づけて「動物A」だ。初めての授業に中学一年生七人は「えっマジで」と驚きながら、おそるおそる触り始める。最初は全身かと思いながら。「牙みたいなものがある」「奥歯みたいなものがある」……頭蓋骨(ずがいこつ)らしい。わからないものを少しずつ解いていく過程は何によらず面白い。

 二時間目。「穴」と「空間」に注目しての探索はますます面白くなる。鼻や目が見つかり、目の穴の中の後ろの方に見つかった穴は神経の通るところに違いないとわかってくる。歯の様子から肉食とわかった動物Aが、獲物であるシマウマをしとめる姿を想像することになり、一人が「いやなパターンだな」とつぶやく。現実味がある。

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